東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]

INTERVIEW

石割 健監督/CERVEZA FC 東京

「選手自らに考えさせる。その方が伸びしろは埋まる」

2019年シーズンの東京1部リーグを2位で終え、関東大会では過去最高の3位という成績で終えたセルベッサ。昨年、正式な指揮官に就いて采配を振るった石割監督にこの一年間を振り返ってもらった。(※インタビューは2019年12月に実施)

| TOKYO FOOTBALL

PROFILE

石割健 1978年、大阪府出身。関西学院大学卒。当時、東京3部のCERVEZAに加入し、東京1部昇格や1部初優勝に貢献。現役引退後はCERVEZAでコーチを務め、2019年より監督に就任。

CONTENTS 01
監督の仕事は言葉にして伝えること

--セルベッサは2018年シーズンを9位で終えて2019年からは石割さんが正式に監督に就いてリーグ開幕を迎えた。2018年のシーズン終了から翌年の開幕までに考えたことは。

「2018年を9位という順位で終えて、それからチームとしては何かを変えなくてはいけないと考えていた。まず、選手が話し合ってキャプテンが中田から金澤に代わった。それが一つ。それに対してスタッフも、今までセルベッサは『選手のチーム、もしくはそれをまとめるキャプテンのチームだ』ということを繰り返し言っていたが、でも、それじゃダメなんじゃないかと。スタッフもしっかり自分を打ち出してやっていかないと周りもどんどん強くなるし若くなる。僕らも変わらなくてはいけないよね、という話になった。自分としても去年はコーチとはいえ、実質的に監督的な立場を任されていたし、しっかり監督という名前でやらなくてはダメだと考えていた。とにかく選手もスタッフも何か変わろうというのがシーズンを終えてからの考えだった。

 そこからチームの目的をしっかりと掲げて、それを達成するための目標を立てた。目的としてはセルベッサはファミリーになること、そしてその目的を達成するためにはリーグ優勝をしようと目標を立てた。それと公式戦に登録するメンバー全員が出場できるように個々人は責任感を持つこと、そしてまわりもみんなを助けること。サッカーに関しては『突破、保持、回収』をテーマに、自分たちのサッカーを突き詰めていくこと。去年9位だったとはいえ、きちんとした戦い方ができれば実力はあるし、十分に優勝は狙える。そう思っていた」

--1部リーグの中にはS級やA級といったライセンスを持っている監督も複数いる。そういった中で石割監督自身はいわば普通のサラリーマンでノーライセンス。正式な監督として臨むにあたり、自分自身の強み、自信はどうだったか。

「100%ではないが自信はあった。サッカーは相当見ているし勉強もしている。それに都リーグの経験値でいえば自分は選手としてもやっていたし、このカテゴリーの知識は十分にある。結局監督の仕事って、要は言葉にして選手に伝えることだから、どうやったら選手に伝わるか、それをひたすら考えているし、そこは自信を持ってやれている。

 例えば、南葛なんかはうちとは全然違うやり方で、『こういったサッカーをするんだ』というところから始まり、それに見合った監督を連れてきて、そのサッカーを具現化するための選手を集めてくる。一方でうちはサッカーをやりたい選手が集まっているから、そういう選手が全員出場してチーム力を上げていくやり方。まずは選手を見てからどういうサッカーをやるかを決めるし、もちろん相手がいるから相手をみてサッカーを決める。南葛のように関東大会で引いた相手を崩せなかったから、来年はもっとパスを回して崩せるチームになろうというのは、サッカーに対してのアプローチの仕方が違うなと僕は思う。そういったことを選手たちにどうやってうまく伝えるか、そういったことを考えている」

--人にうまく伝えるということは非常に難しくないか。

「難しい。そもそもセルベッサは活動自体が少ないし、公式戦にしてもトレーニングマッチの時にしても監督の言葉はあまり選手の耳には届かない。だから、ひとつかふたつしか言わないし、それを何にするか、どうやって伝えるか、そこが難しい。同様のことを選手にもやらせているが、彼らも伝え方がへた。近藤なんかもサッカーはうまいけど、その点では苦労している。自分のサッカー感覚をどうやったら伝えられるか、相手に腹落ちさせられるか。それが出来ればみんなのレベルが上がるし、言っている本人もレベルが上がる。腹落ちする人が多ければその分だけチームのレベルは上がると思っている」

CONTENTS 02
相手チームの分析はあまりしない

--公式戦に臨む前は緻密に戦術を練ったりはしているか。

「情報があれば対策は立てるが、情報がない時の方が多いから、緻密なスカウティングがベースにはなっていない。毎回、誰が試合に参加できるかは直前にならないとわからないし、試合前日に平日の練習の情報をキャプテンの金澤からキャッチして、じゃあどういうメンバーでどういうメッセージを送ろうかなって考える。その考える時間にあまり相手の対策のことは入っていない」

--今季、印象に残った試合は。

「南葛戦、東京海上戦。それに今季唯一負けた八王子戦、あとは点が取れなかった0-0の東京蹴球団や三菱UFJ戦。やっぱり点を取れない課題が一年通じてあった。学生相手の引き分けに関しては季節的にも夏だったし、仕方がないのかなと思う」

--2-0で勝った南葛戦は戦術的に何か考えたか。

「どこに弱点があるかなというのは考えた。開幕してそれほど時間も経っていなかったし、DFラインの連係はたぶん弱点だろうなって。そこをうちの2トップに突かせたら、何度も入れ替わることができて優位に進められた。やっぱりこのカテゴリーだと中盤はいい選手がゴロゴロいるけど、CFやCBで本当にスーパーな選手はもっと上のカテゴリーでやっているだろうし、そこは弱点かなって思った」

--今季対戦してみて、良いチームだと思ったのは。

「自分たちの戦力を冷静にみて、それで最大限のパフォーマンスを披露してくるチームは感心する。東京蹴球団なんかはしっかり守って、少ないチャンスで点を取ってくる。もしくはセットプレーの時になると、すごくギラギラしてくる。東京1部で勝つにはあの戦い方になるだろうし、それをみんなが理解して、人によっては我慢もしている。それをチームで出来ているのはすごい。三菱UFJや東京海上といったチームもそうだと思うし、1部にはそういうチームが結構いる」

--石割監督の好みの選手は。

「うちの選手はみんな好き。あえて言うならどのポジションをやらせてもこなせる選手。例えばうちの保田なんかはワイドの前もやるし、サイドバックは左右どちらでもやる。それにボランチもやる。そういう選手は好き。それに普段と違ったポジションをやらせて『僕、ここやるんですか』ってなった時に本人はサッカーがまたうまくなるし、楽しそうにやる。津田や我妻なんかも好きだし、中島なんかは普段けちょんけちょんに言っているけど、FWとしてシュートを撃つことしか考えていないところは好き」

--中島選手のようなFWは好みのタイプ。

「点を取ればいいんでしょみたいなメンタリティが好き。ただ、僕とあいつの思い自体は合っているかもしれないけど、彼はそれを体現はしてくれていない。『点を取ればいいんでしょ』って言うなら点を取れるポジションをお前は今日何回取った?サイドチェンジして気持ちよくなってんじゃねーぞ、みたいな。深い位置で相手を剥がしてもゴールから遠いんだけど、そんなの『点を取ればいいんでしょ』じゃないだろと。周りからうまいって言われることが、彼の気持ちいいサッカーになっていて、そこはこれまでのサッカー観が出てしまっているところがある」


CERVEZA・FW中島秀隆

--都リーグ全体を見ると好みの選手は。

「小松聖音(東京海上)かな。やはり要所を押さえているし、嫌なところにいる。判断ミスも少ないから本当にいい選手だと思う。見た目があまりうまそうに見えないところもまたいい。堀田(東京海上)なんかはわかりやすいタイプのいい選手だけど、小松は一見そうは見えない。でも何年もあれだけのパフォーマンスをあんな遠くから通ってやっているのはすごいと思う。あとは、佐々木竜太かな。でも、都リーグはみんなレベルが高いから、誰かが吐出してすごいというのは際立たない。唯一、違いを作れるという意味ではうちの我妻が一番かな」

PAGE TOP


TOP

PAGE TOP