東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]

INTERVIEW

今矢直城 NAOKI IMAYA

「自分の哲学を持ち、信念を貫ける指導者でいたい」

昨年、監督通訳という仕事を離れ、再び指導者への道を歩み始めた今矢直城氏。東京1部のエリースにアドバイザーとして携わり、オーストラリアでA級指導者ライセンスを受講。この1年間の活動を振り返ると共に、自身のサッカー哲学や2020年の意気込みを聞いた。(※インタビューは2020年1月に実施)

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PROFILE

今矢直城 1980年、兵庫県出身。現役時代はオーストラリアやスイスなどでプロ選手として活躍。引退後は早稲田ユナイテッド監督や東京国体選抜コーチを歴任。2017年にはWカップアジア最終予選でオーストラリア代表チームのスカウティング部門として日本代表の分析担当もこなし、2018年には横浜F・マリノスでオーストラリア国籍のポステコグルー監督の通訳も務めた。2019年は東京1部エリースのアドバイザーを務めつつオーストラリアでA級ライセンスを受講。2020年からはJ1清水エスパルスの新監督ピーター・クラモフスキー氏に引き抜かれ、コーチに就任することが発表された。

CONTENTS 01
2019年はエリースのアドバイザーに就任。サッカーコンセプト構築に着手

--2019年は東京1部のエリースのアドバイザーに就任した。まずはどういったところに着目し、着手したのか。

「まず最初に小宮代表と話した時に、クラブとしては本当に素晴らしいチーム。歴史も長く、多くの大学生が大学を卒業したあとに入団したいクラブの名前に常に挙がってくる。それはやっぱりエリースというクラブ自体が魅力的で、選手としても社会人としても魅力的な人が集まっているから。ただ、自分も早稲田ユナイテッドの監督をしている時に何度かエリースと対戦をしたが、サッカーの部分でいうともう少しコンセプトを作った方がいいんじゃないかというのは思っていた。エリースにはいい選手が入ってくる。でも、それはある意味『個』に頼ったサッカーになっていて、それが永続的に続くかと言うと難しい。”エリースのサッカーとはこういうサッカー”というものが見えてくれば、さらにいいチームになるし、その基盤を作るという部分ではお手伝いできるかなと思った。そこが入口。もし、そこでエリースにはすでに自分たちのサッカーがあって『今矢さんはアドバイスをくれるくらいでいいよ』ということであれば、この話は無かったかもしれない」

--エリースには明確なサッカーコンセプトというものがなかった?

「海外の話になってしまうが、海外ではクラブビジョンの中に必ずサッカーの部分もあって、そのビジョンにより近い監督がクラブに入ってくる。例えばクラブが面談をする時に、互いのサッカービジョンを見ながらイエスなのかノーなのかということになる。もしかしたらエリースにもあったかもしれないが、少なくとも僕が話した時の会話には出てこなかった。だったらお手伝いはできるかなと。それにはもちろん代表だけでなく、スタッフ陣や選手たちの賛同が必要だったが、最終的には『やりたい。今矢さんが志向するサッカーをエリースの選手たちは頑張ればできると思う』ということでスタートした」

--具体的にはどういったサッカーをやろうと。

「主導権を握るサッカー。すべてにおいて圧倒する。攻撃、守備、決定機の回数。シュートが終わっても、2回、3回、4回と連続攻撃をすること。もちろん逆に被決定機の数も減らす、相手を自分たちのコートに入れさせない。しっかりとルールを決めてそれを守ろうと。そういったことを掲げた」

--最初にエリースを見て感じたことは。

「一番気になったのが受け身のサッカーだったこと。DFラインはすごく低くて『まずは守備から』、『まずは前半0-0』というような意識。そうではなくて、開始5分で2点、3点、取りに行こう。そのマインドセットを変えなくてはいけないと思った。ただし、それには選手、監督、全員が同意しないと前に進めない。本当に船の舵を完全に反対に変えなくてはいけなかった。厳しい言い方をしてしまうと、正直、今でもまださまよっているところがあると思うし、それくらい自分たちが同じ方向を向き続けるというのは大変なことだと思う」

--選手たちの取り組みに関しては。

「選手はもちろん、津久井HCはじめスタッフもみんな本当に素晴らしい。僕自身はアドバイザーで、決して毎回練習や試合に行けるわけではないし、ほとんどがプレゼン資料や映像でしかイメージの共有はできていない。グラウンドで実際にこの強度でやってほしいなどといった練習を見れたのは数回しかない。それを考えると、よくこの短期間で選手たちは平日に仕事をしながら、頑張ったと思う。個々人がビデオを見て、何がチームとして問題なのかを照らし合わせて取り組む姿勢は本当に素晴らしかった。その頑張りがなければ、1年目でこれだけ出来なかったと思うし、よく週1、2回の集まりの中で東京1部リーグを優勝できたなと思う」

CONTENTS 02
エリースには信念を持って継続してほしい

--ただ、リーグ優勝は出来たが関東大会の準決勝ではザスパ草津チャレンジャーズ(群馬)に0-5で敗れて関東リーグ昇格を果たせなかった。今矢さん自身は準々決勝までは帯同できたが、準決勝はA級ライセンスの講習で立ち会えなかった。後日、試合の映像を見てどう感じたか。

「映像を見た限りではそれこそ受け身になってしまったかなと。最初のFKの失点にしてもラインが低かったし、2失点目もCBがハーフラインから20メートルくらい下がってヘディングを競り合っていて、本来であれば逆にハーフラインまで押し上げてラインを揃えていないといけない。結局、そういった規律を守れたかというと『ノー』だったし、厳しく言うと、関東大会というプレッシャーがある中で11人が、クラブ全体がやらなくてはいけないことを統一できなかった。0-5で負けるにしても、自分たちのコンセプトを貫いての0-5であれば、また来年磨きをかけて頑張ろうで良かったが、少しもったいない負け方だったかなと思った。でも、大会後に敗因についてメンタル的な部分に問題があったんじゃないかという議論もあったなかで、実際に映像を見て、守備の規律を守っていれば明らかに起きなかった問題というのを理解してスッキリした選手もいたので、そこは良かったと思う」

--今年はもうエリースのアドバイザーを離れることになる。今後に向けてメッセージは。

「エリースはJリーグを目指しているクラブではないが、十分に魅力的なクラブで、今後更に成長していくはず。ただ、それには見に来てくれる人たちにより魅力的なサッカーを見せることが一つのミッションになる。そこは東京1部だろうが、関東2部、1部だろうがカテゴリーは関係ない。もちろん関東リーグを目指すという目標は必要。でも、あまりに関東に昇格、昇格ではなくて、まずはこのチームを磨いて、見に来た人たちがエリースのサッカーは面白い、楽しいと感じてもらって、選手たちもこういうサッカーならやりたい、楽しい、毎週行きたいとなってほしい。そうなれば自然に関東リーグにも上がっていけると思う。

 サッカーに関して言うと間違いなく2019年にやったことをこのまま継続してほしい。青山コーチは毎回、毎回メモを取りながらやっていたし、選手たち自身もこのまま信念を持って一緒にやり続けてほしい。主導権を握るサッカーというのは一番難しいサッカーで、簡単にブレやすい。正直、やられる時はモロにやられる。まさに準決勝みたいに0-5で大敗することもある。そういった時に信念がなければ『やっぱり負けるじゃん。もろいじゃんこのサッカー』ってなる。でも結局、主導権を握って一番点を取っているチームが世界でも優勝してるし、去年のマリノスもそう。Jリーグで一番点を取ってるチームが優勝した。

 決して勘違いしてほしくないのは美しいサッカーを目指してほしいと言っているのではなくて、僕自身は誰よりも結果にこだわっている。でも結果にこだわるがゆえに、このサッカーになる。主導権を握れて、相手よりチャンスを作って決定機も作る。相手を自分たちのボックスから離して、自分たちがボールを握れていれば勝利の確率は必ず上がる。だからこそ、簡単に逃げずに信念を持ってやり続けてほしい。おそらく来年監督になる青山コーチは大丈夫だと思うが、それをサポートする人たちも同じような気持ちでやってもらいたい」

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