SHIBUYA、苦戦の勝点3 魂の守り見せたDF山出
写真:ボールをキープするSHIBUYAのDF山出。
MATCH REPORT後藤 勝
<東京1部:SHIBUYA 2-1 アローレ>
この試合に敗れた場合、消化数が1戦多いEDOの優勝決定もありえる状況。そしてなにより全日程終了時の3位以内確保を考えるとなんとしても勝ち点3が欲しいSHIBUYAだったが、そうは問屋が卸さなかった。関東社会人サッカー大会進出の可能性を残す6位のアローレが立ちふさがった。
ホーム側はSHIBUYAだが、試合会場はアローレのホームグラウンドである文化杉並学園八王子グラウンド。いわばアウェイの地で、相手の術中に嵌まる格好となった。
この日のアローレは試合開始直後の落ち着かない時間帯を経てもなお、意図的に長いボールを多用。SHIBUYAのプレスを避け、自陣最終ラインで無理につなぐことなく早めに蹴ってボールを相手方向へと遠ざける選択を続けた。
しかしSHIBUYAはこのアローレのやり方に対応し、前半11分、セカンドボールを回収すると一気に相手陣深くへと進入、FW政森が右ニアでしっかり足を振ってのシュート。これが相手DFに当たる格好となり、ボールは跳ね返りながらもラインを越え、早い時間帯に先制点をもぎ獲った。
ところが負けられないアローレはここから積極的な姿勢となり、その5分後の前半16分、ウラに抜けたMF泉がゴール左にシュートを叩き込む。1-1の状況に、さらに勢いづくアローレ、どこか焦りを感じさせるようなSHIBUYAという対比で前半が終わった。
後半は一進一退。後半33分、途中出場で右サイドハーフに入っていたMF宮崎が遠目から対角に決める決勝点でなんとか勝利を得たが、SHIBUYAにとっては苦しみ抜いた末の3ポイントだった。
我慢の時間帯が長く続いたが──と水を向けると、ハードワークで奮闘した右サイドバックのDF山出は「いやもう仰る通り」と、同意した。
「もっと自陣からつないでゴールまで行き、練習してる形でゴールを獲りに行き、セカンドを拾って2次攻撃、3次攻撃で押し込んでずっと攻撃し続け、守備もハイプレスでボールを獲って、というものが理想だったが、相手が巧くてプレスを剥がされる時もあったし、背後をとられて押し込まれるシーンが多かった。勝ちはしたが、うまくいっていなかった感じがする」
SHIBUYAがやりたい戦い方を出来なかった背景には、アローレがそうはさせてくれない戦い方を選択してきたことが挙げられる。山出はこう続けた。
「割り切って早く蹴ってくるところ、ぼくらがボールを持った時はしっかりブロックを築くところも、ちゃんとぼくらの試合を観て対策してきたのかなという感じはあった。組織的でいいサッカーだったと思う」
いわゆる試合の入りはSHIBUYAのほうが優勢。同点に追いつかれたあとも、下からつないでいく攻撃など、持ち味を発揮出来た場面は多く、内容は決して悪くはなかった。しかし接戦の試合展開にやや平常心とは異なるところがあったのか、ミスで自分たちを苦しくするシーンも。昨年王者として徹底的にマークされるSHIBUYAにとっては望んでいた展開ではなかったが、後半41分に自陣へと戻り、身体を入れてボールを守り切る場面で見せた山出の泥臭く戦う姿勢が貴重な勝利を呼んだ。
「もっと出来ると思う。ここからもっと突き詰めて、あと3試合やっていけたら」と、山出。早大ア式FC、東蹴、そしてEDOと続くラスト3試合に向け、手綱を締めた。
(後藤勝)
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