アローレ金星逃す MF可児が感じた課題とは
写真:アローレは前半に泉が同点ゴールを決めたが勝ちきれず。
MATCH REPORT後藤 勝
<東京1部:SHIBUYA 2-1 アローレ>
アローレがあと一歩のところまでSHIBUYAを追い詰めながら終盤に勝ち越し点を許して敗れ、同時に関東社会人サッカー大会進出圏内である3位以上入賞の可能性を絶たれた。すべてに於いて惜しい今シーズンを象徴するかのような一戦だった。
地力の差を感じさせられる1失点目で鼻っ柱をへし折られるかと思いきや、一転して攻勢に。その5分後、1-1の同点に追いついた反撃は見事だった。奮起して追いつき、追い越せという姿勢で終盤まで戦い、好印象を残すゲームではあった。しかし一方で、仕留めきれず、勝てる試合を落とし、相手に3ポイントを渡してしまうかのようなゲームでもあった。
MF可児のところで失わずにボールを保持でき、時間を作れる。この可児が広い視野で周囲を確認し、ゴールまでの道筋を意図してボールを動かすことで、相手に対して優位に立ち、先手をとれる。だが、そこから先で追加点を挙げられなかったことが、この日に敗れた遠因となっていた。
「それは今年1年間難しいな、と思いながらやってきたところ。(有利な状況をゴールに結びつけていくには?)ひとつには、もっと自分のプレーの幅を広げなきゃいけない。3手でゴールまで行けるところを、自分のところから1手でつなげられるようにするとか。プラス、味方のやりやすいプレーを選択したり、自分がもっといい位置で受けることに、どんどんトライしていかないといけない」
この試合だけでなく、今シーズン中に課題だと感じていたところについての改善を、可児はこのように語った。これまでのキャリアで培った戦術眼を用いゲームを組み立てるといい展開になるが、ディテールの質が伴わずにチャンスが消失しがち。ならば、少しアレンジを加えてよりダイレクトに、より容易にゴールをめざすことが、このSHIBUYA戦で失った1ポイントあるいは3ポイントを獲得し、順位を上げていくための方策となるのだろう。
拙さは序盤の失点につながった時間帯にもあった。「全部の場面で狙いのあるボールが出せたらいいけど、そうではなくセーフティーにやらなきゃいけない時は絶対あると思う。その時、全員の、一人ひとりの共通認識に甘いところがあり、絞るのが遅くなったり、ラインを上げるのが遅くなったり、蹴るモーションになった時にファースト(で受ける選手)がちゃんと競れる位置に入ったり、そういう一つひとつのポジショニングが相手より遅いとなると、やはりああいった失点が生まれる。それは今日だけではなく、年間を通じてあること。そこを解明していかなきゃいけない」と、反省した。
たしかに白熱した、おもしろい試合ではあった。しかし結果は敗れ、関東大会進出の権利も消えた。いいサッカーだったという評価に満足するわけにはいかない、これよりも上をめざさなくては──という想いがアローレの現場にはある。
「うまく出来た時間帯が長かったけど、結局一人ひとりの準備の部分とか、そういうところでサッカーは決まる。そこでやられてしまったので、手応えもあるけど結局勝てなかった、それがいまのぼくらなのかなというのは、すごく思う」
勝てて初めていい内容に意味がある──と、可児。期待感を勝利に結びつけ、さらに進化出来るか。今後に向けた課題を再確認する契機となる、上位との激戦だった。
(後藤勝)
【関連記事】
・SHIBUYA、苦戦の勝点3 魂の守り見せたDF山出
東京都社会人サッカーリーグ1部