BANDELIE勝って残留決定 1年間の成長を見せた最終節
写真:最終戦に勝って自力での残留を決めたBANDELIE。
MATCH REPORT後藤 勝
<東京1部:アローレ 1-3 BANDELIE>
一時は3位以内を狙う位置につけていたアローレに対し、BANDELIEは14位。試合開始前の時点では上位に下位が挑む構図だったが、終わってみればBANDELIEが3得点の快勝で1部残留を決める結果となった。
序盤はアローレMF三浦が背後を衝こうとする動きが目についたが、BANDELIEは「タテ切れ」の声掛けとともに3人がかりで抑え込むなど、得意の飛び出しを無効化。すると前半33分、左SB松田のパスを受けたFW佐藤が中にマイナス気味に折り返し、これを左SH坪沼が左足でゴール右隅に決めて先制。左サイドの3人ですばやく完結する攻撃によって1点を先行した。
アローレのもうひとつの武器であるボール保持に対しては、自分たちの守備組織の外で回させてリスクを下げ、監視する展開。この1年間磨いてきた守備が、試合のペースを掌握する要因になった。
「(アローレの飛び出しに対して)まずはしっかり中を固め、嫌なところだけを抑えて、他は1回遅らせて、全員が戻って守備をすれば、最初のウラだけ閉じておけば大丈夫と、最初にキャプテンの矢部が発信をしてくれていた。それが90分間通して出来たから怖くはなかった。(ボール保持に対しては)アローレさんは足もとの技術がめちゃくちゃ高い。最後の部分だけ気を付けて、あとは自由にやらせるというところで意思統一が出来ていたので、そこも90分間出来てよかった部分」。前節からセンターバックに入り、矢部とともに必要な発信をしてチーム全体を引き締めた岸はこう語った。
昇格直後の初戦はEDOに6失点の大敗。しかし前からのハイプレス、構えるミドルブロック、ゴール前の身体を張ったプレーと、守備の整備はこの開幕時点から進んでいて、特に高い位置でボールを奪う意識が高かった。その方向性をブレさせずに向上してきたのだろう、勝ち越しの2点目は後半8分、相手のミスから回収したボールを運んでのショートカウンター気味の攻撃によるものだった。しかも直線的なカウンターではなく、左サイドの外に出して迂回するように運び、クロスを入れて最後は中で杉村が合わせる形。フットボールの内容でアローレを凌駕しての完勝だった。
ダメ押しの3点目はPK。岸が起点となってボールを前に出すと、そのまま全体が勢いを止めずゴールに向かう。岸から数えて3人目のFW佐藤がエリア内で倒されてPKを獲得すると、これを自ら決めた。この積極的な姿勢がBANDELIEの真骨頂。「ぼくがもともと後ろの選手じゃないというところもあるけれども、負けていようが勝っていようが、最後まで自分たちのサッカーを貫き通そうとゲームに入り、最後までゴールをめざせた結果、その前への推進がPKにも繋がったのかなと」と、岸は達成感を噛み締めていた。
「最初に4連敗。そのタイミングで『ぼくたちってどんなチームだっけ』と、何を大事にするのかということを振り返り、そこから意思統一した。ぼくらは技術が高いわけでも身体能力が高いわけでもないので、チームで補完し合って戦い、それをやり通すところでそのあとの勝利につながり、残留も決定したと思う。来年もそこに関してはブレずにやり、そしてもちろんサッカー選手ではあるのでスキルは磨いていきたい」
しっかりと自分たちを見つめ、1部に適応しながら成長してきた2024シーズン。築いた足場を踏みしめ、来年に向けて顔を上げる、すばらしい締めくくりの勝利だった。
(後藤勝)
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