アローレ、ホームで残念な終戦 時間帯ごとの試合運びに課題
写真:ゴール前のチャンスを逃すアローレの三浦。
MATCH REPORT後藤 勝
<東京1部:アローレ 1-3 BANDELIE>
アローレとしては理想的ではない、残念な試合を一年の最後にホームで見せてしまう結果となった。
定期的に使用出来るグラウンドとクラブハウスがあり、多くのファンとスタジアムDJもついて運営はしっかりしている。最終順位は7位または8位になるが、一時は3位以内をうかがう位置につけていた。フットボールの中身についても特長があり、MF可児をはじめ技術に優れた選手もいる。しかしポテンシャルを発揮しきれない、そんな現状を反映するような最終節だった。
立ち上がりは悪くなかった。キャプテンの左SH泉や10番橘田が流動的で、FW林や三浦をスペースに走らせ、背後を衝こうとする動きが活発だった。しかし後方で回させている分には怖くないという構えでBANDELIEに守られ、タテに行こうとする三浦を封じ込まれると、攻め手を見いだせない展開になった。
適切なポジショニングでBANDELIEに構えられると、スペースなりコースが見えにくい、受けどころ、出しどころが見出しにくいという状態になる。そこで判断に少し時間がかかり、攻めあぐね、消極的なプレーになってしまった。
「自分も含めて、今日の前半はちょっと消極的だったかな、と。対照的に相手はミスを怖れず、積極的にやってきて、少し後手に回ってしまったかなということはある。個で打開するとか、練習の形を思い切って出す、チャレンジするというのが今日は一番欠けていた。前半は特に欠けていたと思う。大事に行こうとする意識があり、出すふりをしてドリブルしたり、一個奥を見るとか、そういったプレーがちょっと少なかった。(みんなで少しずつ動きを広げていけば打開出来た?)大きいプレー、思い切ったプレー、全体的にそこの意識が低かったかなと思う」
泉はこう反省した。一転して3失点目のあとは点を獲ろうと急いだが、それによって丁寧さが欠けた。終盤にイエローカードと判定されたプレーを含むファウルが頻発してしまったのも、そこと無縁ではない。土壇場に来て試合運びの拙さが露呈し、試合の時間を有効に使い切れなかったのは悔いが残るところだ。焦る終盤こそ冷静に、時間がある前半こそ大胆にプレー出来ればよかったが、なんともちぐはぐな試合をしてしまった。
「(3失点後は)大味になってしまった。あれ(速い攻め)もありつつ、相手のラインを下げて後ろから作るというようなプレーが前半は少なく、相手のラインが下がらないからコンパクトになって、その周りで回してるだけみたいになった。逆に失点がかさんで大きいプレーが増えると、相手はブロックを敷くから簡単に弾いてセカンドを拾って、という形に。そこを、相手の状況を見て後ろの選手が配球を使い分けられれば、もっと前半から相手を間延びさせて自分たちが前向きに仕掛けるシーンが多くなったのではないかと思う。組み立てにこだわっていた分、そこの使い分けはさらに課題かなと思った」
ボール保持をベースとするスタイルの構築、その方向性自体は問題ない。しかしそのなかで出てくる課題というものがあり、それが明確にあらわれた最終節だった。これをその場の気付きに終わらせず、選手同士、チーム全体で共有して、どう改善していけばいいかを話し合うことが大切だ。「スタッフも含めてすり合わせをもっとやっていく必要がある」と、泉。この敗戦を来年以降に飛躍するべく服用した苦い良薬と考え、成長の材料にしていきたい。
(後藤勝)
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