クリアソン北嶋監督、攻撃の構築に手応え
写真:後半ゴールに迫るクリアソンのFW齊藤。
MATCH REPORT後藤 勝
<JFL:クリアソン新宿 1-1 横河武蔵野FC>
JFL残留を争う東京勢同士の対戦は1-1に終わった。ともに、残留のためには3ポイントが必要と、切実な意識のもとで士気を高めている者同士。ゴールシーンもすばらしいクロスにすばらしいヘディングと同様で、客観的には見ごたえのある一戦だった。
勝点1止まりであったとはいえ、これでクリアソン新宿は5戦負けなし。複数失点が多かった8月の4連敗から比べれば内容が好転し、残留争いの上で前進していることは間違いない。
1得点に終わったことには不満が残るが、ただし得点機をつくる工程には、北嶋監督は好感触を得ているようだった。守備のオーガナイズを整える意識が高まり、直近の3試合はすべて無失点。そこからどうカウンターを発動させて得点を獲りに行くかということに取り組んできたが、その成果があらわれはじめている。
「すごく選手たちもトライしてくれて、どうカウンターを繰り出すか、ゴール前まで迫っていくかということは出来てきたと思う。どうしたら点を獲れるか、その構築は良くなってきているので。最後のところは本当に冷静さだったり気持ちだったり、いろいろな要因はあると思うけれども、なんとか点を獲って勝てるようになれればいい」
攻撃面で効果的と思えるのはFW齊藤の、1トップでの先発起用だ。横河武蔵野FCよりも先にクリアソンがパワーをもって攻めた開始早々の前半3分、齊藤のシュートは右サイドネットに行ってしまったが、それでも気落ちすることなくサイドに出たり中盤に引いてきたりしてボールに関わり、柔らかなタッチで味方につないでチャンスを作っていた。
「(齊藤)和樹は本当にそう。ぼくたちが守備をしている時に、どこにポジションを獲るかというところまで今は緻密に決めているが、そういうところも理解して、味方もどういうボールを和樹に入れていくかというところをみんなが理解してやれている。それにどういう風に味方が絡んでいくか、その精度をより上げて、ゴール前の決定機に落ち着いて決められるようになっていくということが、すごく重要かなと思う」
北嶋監督はこのように熱く語った。失点場面は武蔵野のサイドプレーヤーに対する寄せが甘く、自分たちのウイングバックやシャドーといった選手の準備が遅かったことが要因だが、そこの修正が出来た前半の途中からは完全にクリアソンペースとなり、後半終了までほとんど主導権を譲ることはなかった。1失点は喫したもののそのように守備が完成に近づけば先手を取って試合を運び、安定した戦いが出来る。
こうなってくると残りは得点だけ。頂点のFW齊藤を中心にシャドーのMF池谷などの決定力が向上していけば、残留はより確実なものとなりそうだ。
(後藤勝)
日本フットボールリーグ