VONDS心折れず 3点差勝利へ一丸 入替戦切符つかむ
写真:終了間際に入れ替え戦行きを決める6点目を蹴り込むDF谷口。
決勝ラウンドVONDS市原 6-3 福井ユナイテッド
ミラクル達成まで何度心が折れかけたか。首位に立つ福井を相手に3点差以上の勝利という途方もない条件達成に向け、キックオフから攻撃的に走り出すVONDSのイレブン。開始7分でCKから清原がヘッドで先制した時、希望は大きく膨らんだが、24分に絶対に与えてはいけない失点を喫すと「また3点が必要」と失望に変わる。
40分のMF吉田力のゴールで前半を2-1で折り返し、さらに69分にFW一木がボレーを蹴り込み3-1とした時はさすがに「いける」と確信したのもつかの間、73分に失点してまたため息に変わる。終盤の80分にCKからFW加藤が魂のこもったヘッドをねじ込んでも、その4分後に再び福井が立ち上がって反撃し4-3と食らいつく。つかめそうで遠い3点差。残り時間はもうわずか。
あきらめてもおかしくない流れだったが、伊澤監督は「選手たちは本当に心震える試合をやってくれた」とたたえる。不思議とどれだけ心が折れかけてもこの日は最後にVONDSが3点差をつけて勝利できそうな雰囲気がどこかあった。勝てばJFL自動昇格の福井がゲーム終盤は2位確保に走り、受け身にまわり始めたことも追い風となった。忍耐力、反発力、勇敢さ、勝利への執念、どれを取っても今日に限ってはJFLへ進む資質を備えていたのはVONDSだったということだろう。
86分に途中出場の櫻庭の左足のミドルが決まるといよいよあと1点。クライマックスは後半追加タイム。1点を奪いにVONDSはGK今川もCKでゴール前に上がる総力戦。迎えた追加タイム4分、右サイドから有永がゴールに向かって放り込んだロングボールを加藤、磐瀬がつなぎ、最後はCB谷口が左足で蹴り込み、ついに3点差となる6点目をもぎ取った。
ピッチに崩れ落ちる福井を尻目にVONDSはベンチから雪崩のように選手、スタッフも駆け込み入れ替え戦行きを確信する歓喜の輪。主将のCB渡辺はこのドラマチックな展開を一言「魂だった」と振り返った。
それでも戦いはまだ続く。昨年敗れて涙をのんだJFLとの入れ替え戦が待つ。ただ、2勝1敗ながら最後に得失点差で逆転されて入れ替え戦にまわった昨年とは違い、今回は自らが必死に掴み取った切符。「1位にはなれなかったが、もう一度JFLに行くためのチャンスをもらえた」と監督。決戦は1週間後に宮崎の地で行われる。VONDSの熱いドラマはまだ続く。