東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]

COLUMN

シリーズ展望「東京社会人サッカーの未来」Vol.03

社会人の「矜持」。Intel Biloba Tokyoの挑戦 - 04

|後藤勝(ライター)|コラム一覧

Intel Biloba Tokyo

1部で戦っていくための準備

 東京都社会人サッカーリーグで唯一、90分間の試合が実施される1部は激戦区。競技志向の社会人リーガーが目標とする舞台だけに、クラブの総合力が問われるカテゴリーだ。選手が一定数活動日に集まってくるのか、練習の機会を確保出来るのか、関東大学サッカーリーグやJリーグの経験者といった有力な選手を揃えられるのか。練習や試合の中身といったチーム力の部分以外の運営面も含めての戦いとなる。

 もし4部から1部をめざすとどうなるか。大学や企業といった母体を持たない場合、Jリーグをめざす方向性を掲げて周囲を巻き込みクラブを大きくしていくか、スクールを開催したり2種、3種年代のチームを運営したりしてフットボールクラブまたはスポーツクラブとして発展させていくか。トップチーム以外の領域を増やしていかないと昇格しながら活動をつづけていくのは難しいかもしれない。Intel Biloba Tokyoにしても、東大ユナイテッドから変わっていく過程でスポンサーをつけたが、大学クラブ、企業クラブ、Jリーグをめざすクラブに比べれば慎ましやかな体制と言っていい。

 ほぼ同好の士が集まったチームのみという体制で上をめざすなら、まずは自分たちを信じる気持ちが必要だ。多淵代表はこう言った。

「そもそもアマチュアクラブ、社会人クラブは余暇でやるもの。“遊び”にはお金と時間がかかります。スポンサーがつき、年会費も比較的安価だからというよりは、お金を払ってでもこの環境でこの仲間とサッカーをしたいというモチベーションがないと、結局はつづかない気がします」

 仮に4部から都リーグに参加したとして、1年での昇格を繰り返したとしても2部までには最低2年かかる。20代半ばだった若者が27、8歳になると、結婚や異動または転職等でライフステージが大きく変わる時期だ。それでもサッカーを競技志向のチームで継続するには、相応の意欲がいる。

 多淵代表はこう続けた。

「ぼくたちにしても、選手が就職して地方へと異動するということがあり、よりチームを向上させられる選手を入れようと新陳代謝が進み、現状に至っています」

 自分たちが納得するサッカーで勝ち上がっていくのだという意欲をさらに強固なものとして、それが名称変更から2年目となる2020シーズンの2部優勝につながった。ここから先が問題だった。水準が上がる1部でやっていくためにどう準備をしたのか。 2部の時代にも1部のチームと練習試合をおこない、またクラブ選手権関東大会で他県の1部と対戦し、彼らの強さについておおよその推察は出来ていた。

「選手のクオリティやプレーモデルはしっかりしているチームが多い。アストラやCERVEZAは勝ち方を知っているし、負けを勝点1に、1を3にする力を持っている。では、彼らと戦うための力をどう身につけていくか。リバウンドメンタリティ(※挫折から再起する修正力)をどうしていくのか。我々にまず必要なのはそこじゃないかと思っていました」

 Intel Biloba Tokyoでも、最低限の約束事やプレーモデルと呼ばれるものは必要だという結論に達していた。これが大学であれば毎日の練習で共通認識を浸透させやすいが、週1、2回の活動では開幕前にすべてを準備することは難しい。まずは意識を揃えたところで開幕を迎え、年間を通して積み上げをしていくことになった。

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