写真:関東リーグ昇格を決めたSHIBUIYA CITY。(2024年11月)
地域そして全国へのヴィジョン
あらためて2024年のSHIBUYAを振り返ると、都リーグ1部は2位に終わり、ライバルのEDO ALL UNITEDに敗れたものの、関東大会ではそのEDOにリベンジを果たして優勝で関東リーグ2部昇格を決め、その前には全国社会人サッカー選手権大会にも出場。実りの多いシーズンだった。
「今年は本当にこれ以上ない成果をピッチの中でも残せましたし、ピッチの外でもおそらく黒字になる見込みです。実は、都リーグ1部に上がってから3期連続で赤字だったんですよ。チームに対しての先行投資もあってのことで。それが一概によくないということではないんですけど。今年、経営としても来期に投資出来る余剰を生み出せた、原資を獲得出来た、そこはポジティブに捉えていて、2部から1部に上がった時以来の、すべてに於いて満足がいくシーズンだったと思っています」
実績を見ても人気を見ても、SHIBUYAは関東都県リーグのトップと言えるところまで到達した。人気の点に関して言えば、ホームゲームではグラウンドの周囲にギャラリーの人垣が出来て身動きがとれないほど。当然、今後はJクラブに近い実力を身につけ、ビジネス的にも入場料収入やグッズ収入を増やしていく段階に入っていかなくてはならないが、それが1年や2年で完遂出来るほど楽なものではないこともわかっている。山内会長はまず、ピッチ内の強化について、次のように述べた。
「来期、当たり前のように勝ち上がれる保証なんて全くないですし。2年前、我々に勝って昇格された境トリニタスさんが今年降格をしてということを考えると、ぼくらが同じ立場になる可能性だってゼロじゃない。でも当然期待値から言えば、自分たちの選手たちの実力を考えると、来期も優勝を果たし、ストレートで関東1部に上がりたいという想いはありますね。昇格争いに絡むというのはマストだと思っています。いろいろと入ってくる他クラブの情報も気になりますが、いまは自分たちにベクトルを向け、上がるにふさわしいチームをつくろうと、そこに集中しています」
関東大会に向けた強化試合の一環であった全社で得た経験と自信が、SHIBUYAにとっては財産となっているようだ。
「全社ではブランデュー弘前FCさんには完敗でしたけど、福山シティFCさんとの試合はすごく手応えがありましたし、選手たちがめちゃくちゃ楽しそうだったんですよ。あのレベルでやれるのはすごく楽しかった、と。そこがすごくよかったですね。都リーグの最終戦でEDOさんに敗れたあとJ1のクラブとのトレーニングマッチをおこない、いろいろなシステムを試しました。そこでやれることとやれないことを明確にして、全社に出場。関東社会人サッカー大会に向けた強化試合として、いい実戦の機会になったと思います」