東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]


スペリオ城北
Believe in the Dream!Run to J

CONTENTS 01

企業とクラブのニーズをうまく組み合わせたい

--今回、就労支援付きの選手募集を開始したが、その狙いや背景は。

宮坂「Jリーグ選手などもそうだと思うが、引退してからどうするの?という話がスポーツにはよくある。ならば、スパイクをはける環境と合わせて将来の『職』という部分においては『終わってから次のことを考えよう』ではなくて同時進行で進めて行くことが大事になると思う。練習時間や試合の時間を確保するためにアルバイトをしながらサッカーを続けている選手もいるが、それはある意味将来を考えるうえでは時間のロスになるかもしれない。それではせっかくうちの門を叩いてくれる選手たちに申し訳ない。うちに入ってきた段階から人生設計しようよ、というのが今回のきっかけ」

--現状、スポーツ選手を受け入れる企業側のニーズは。

宮坂「僕は地元・北区で商工会議所や経済団体の役員もしていて、ここには物づくり、小売業、サービス業、流通業といったものがすべて混在している。以前はスポーツ選手は雇いづらいというイメージがあったが、今は企業側も人手確保に困っている。だったら『うちのクラブと提携しませんか』ということで、人材を希望する企業をある程度データベース化して、選手の個人面談から引き出した希望職種とうまくマッチングさせていきたい。地元企業への還元、チーム強化を同時に進められればいいと思っている」

宮坂一朗ゼネラルマネジャー

--最近はスポーツ選手に特化した人材紹介会社もある。そういったところと差別化できるようなメリットは城北にあるか。

宮坂「うちは平日の夜7時から北区で練習しているが、その練習と日曜日の試合に参加できるようにお願いしている。特に平日の練習は夜7時からなので、あまり離れた会社だと物理的に参加するのが難しい。移動時間に30分くらい、会社を出てから着替えも含めて1時間くらいでピッチに立てる企業にご相談している。もちろん1時間以上の企業もあるかもしれないが、あくまでクラブとしては地域密着、地元の経済団体といったところとパートナーシップを結んでいくつもりなので、エリアとしては非常に狭くて北区を中心に板橋区、豊島区、荒川区、足立区あたりに絞られる」

--実際に斡旋先の職種は。

宮坂「小売からサービス、物流、IT関係も含めてある程度用意できる。基本的には本人の希望にできるだけ沿う形。今までは『僕はサッカーをやりたいので職は何でもいいです』という選手が多かったが、それだとマッチングエラーにつながる。そこで今回から上杉氏(キャリアアドバイザー)に入ってもらって、選手との個人面談から本人の希望や強みなどをしっかり引き出してもらい、そこを結びつけたい」

--基本的には正社員としての採用になるのか。

宮坂「以前はアルバイトの紹介が多かったが、それだと本人の立ち位置、金銭的な部分も含めてどうなのかなと思うところがあり、今は大半が正社員でお願いしている。なかには準社員からスタートして試用期間を経て正社員というケースもある。やはり、選手たちにもサッカーはもちろんだが、職場でもスタメンじゃないけど、周りの人に必要とされるレギュラーになれよとは言っている。もちろん今は終身雇用の時代でもないし、時には転職することもあると思う。そういった時に今までの経験が無駄にならないようなサポートはしたいし、当然、サッカーのスパイクを脱ぐ頃になれば自分が本当にやりたいことが見えているかもしれないし、世帯を持っているかもしれない。そういった時には改めて自分のやりたいこと、サラリーの金額などを総合的にマッチングして提示してあげたい」

--実際、今は何人の選手がクラブからの紹介で働いているのか。

宮坂「うちのクラブで社員として働いている選手も含めると14人。企業としては7社くらい。その中には選手を引退している人もいる。時々『チームは退団するけど仕事を続けてもいいんですか?』って聞いてくる選手もいるけど、そんなのは僕が決めることじゃないし、あくまでも企業があなたを採用しているんだから気にしなくていいとは伝えている」

CONTENTS 02

まずは自分を知ることが大切

--上杉さんは今回城北のキャリアアドバイザーに就いたが、その経緯は。

上杉「僕はサッカー出身ではなく野球出身の人間。野球界においても、今まで野球しかやらずに現役が終わった瞬間にお先真っ暗ということがよくある。テレビ番組でも引退した選手がどうしていいのかわからないというのをよく見る。やはりそうなる前に野球をやりながら引退後の世界を見つめておくということが大事。僕はそういった環境をつくりたいと思って、いま野球選手たちに取り組んでいる。その話を宮坂さんにしたところ、これは野球と同じようにサッカーにもいえるよね、ということになった。サッカーしかやってこなかった人が将来引退したらどうするの?ってなった時に、そこから考える将来じゃなくて、サッカーをやりながら将来に向けて選択肢をたくさん作っておく。引退したあとでも、また自分が新しいステージで活躍できる世界をつくりたい。それで賛同してもらって一緒にやろうとなった」

--具体的にはどういった取り組みから始めているのか。

上杉「選手が現状に満足しているかどうかを吸い上げている段階。それがスタート。例えば今の職場や今の人生が満足ということであれば、僕らはあえて触れる必要はないと思う。逆に、不満足であったり、もっと別のところで輝けるんじゃないか、将来が不安です、などという選手に対してはもう少しこうすればいいんじゃないか、転職を考えた方がいいんじゃないか、実際にはこういった職種もあるよ、などといった話になる。要は悩んでいる彼らがもっと輝けるようなサポートをしてあげたいと考えている」

--EQ(心の知能指数・感情指数)アセスメント診断も行ったということだが、その目的は。

上杉「サッカーチームの中で活躍するにも、職場の中で活躍するにもまずは自分自身のことをしっかりと知る、自己理解を深めようということが目的。サッカーだけを一生懸命やってきた選手が、ふと自分のことを客観的に見た時に、自分はどういった人間なんだろうと興味を持つ。そういった自分自身のことをある程度数値で見ると、自分の強みや足りない点に気がつくし、そこから足りない点を改善していけば、半年後には数値が変わり、なぜ変わったかも興味を持つようになる。
 実際に選手の中で役職に就いている人は数値が高いし、自分もそこに向けて頑張ろうと変わるきっかけにもなると思う。やはり、就職や転職においては自分のことがわかっていないのに『こんな仕事ありますよ』って先に言ってもうまくいかないことが多いし、まずは自分を理解して、何をしたいか、何ができるか、自分が組織の中でどう立ち振る舞うことでその会社、チームで活躍できるか。そこを理解していない選手を企業に斡旋したとしてもお互いが不幸になる。Win-Winの関係を築くのであれば、自分のことを理解し、そしてそのことを評価してくれる企業とマッチングすることが大事になると思う」

上杉健キャリアアドバイザー

--スペリオ城北には昨年、J3でプレーしていた選手も入団した。そういったサッカーだけを続けてきた選手たちがいざ就職をする際に大切にすることは。

上杉「野球界やサッカー界でもそうだと思うが、『僕はずっと野球しかやってこなかった、サッカーしかやってこなかった。いわゆるサッカー馬鹿なんです』という選手がいる。そうではなくて、サッカーの中でも努力してきたことがあるはず。苦手なことを克服するために頑張ったことがあるはず。企業はそれを知りたい。でもそれを言葉にできないのが、スポーツ選手の弱点であり、もったいないところ。その頑張ってきたところ、努力してきたサッカー以外の部分をうまく言語化して、相手と結びつけることが大事。実際、現役の選手たちは日頃からサッカーをやっていることが将来何の役に立つかわからないままやっている選手が多いと思う。なぜやっているのか、周りへの感謝もそうだが、自分がどれだけ今の環境で頑張って努力しているか、その人間性を企業や社会は評価するということをもっと理解しておくべき。いま頑張っている選手は別のステージに行っても頑張れるだろうし、就職でも転職でもうまくいくと思う」

--今後、クラブへの入団を希望する選手にはサッカーの実力はもちろんだが、どういった人物像に来てほしいと考えているか。

宮坂「サッカーだけでなく、自分の人生設計に対して意思を持っている選手。最初はいい選手で入ってきても、試合で使われなくなったりすると化けの皮が剥がれるではないが、途中でやめていく選手も多い。うちは面談の時に『チーム活動の一環として地域活動なんかもあるけど窮屈じゃない?』ということも伝えているし、そういった地域の人、街の人との触れ合いも大事にしている。公式戦にサポーターが来てくれるのも当たり前じゃないし、それを勘違いしてしまう選手もいるので、そういったことにきちんと感謝できる人間であってほしい」

--クラブとしては今後どういったビジョンを持ってやっていくつもりか。

宮坂「目先の目標としては東京1部昇格、関東リーグ昇格がテーマにあり、普遍的なテーマとしてはこの街からJリーグを目指すというものがある。もちろんJリーグとなると、スタジアムなど自分たちだけでは解決できない要素もたくさんある。ただ、うちは東京2部だけど、練習環境もあってホームゲームを開催できる赤スポもあり、選手の働く場もある。クラブの組織基盤としては上のカテゴリーに負けないくらいのものがあると思うし、せっかくそういったポテンシャルがあるのでこの街と共に一つずつ目標を達成していきたい」

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