八王子、首位撃破まであと一歩に迫る惜敗
写真:シュートに持ち込む八王子のFW河内。
MATCH REPORT後藤 勝
<東京1部:八王子 1-3 FC N.>
各地で真夏日を記録し、猛暑となった7月16日。午前10時キックオフの八王子対N.も暑さとの戦いとなり、両チームとも選手が思うように動けない状態が90分間続いた。
前半、主にサイドから攻め込んでくるN.に対し、守る八王子はさほどピンチらしいピンチもなく落ち着いて試合を進めていた。そして待望の先制点が生まれたのは前半の27分。MF石川が上げたボールをDF赤羽が頭で折り返したところ、これがそのままゴールイン。幸運な面もあり、八王子が1点をリードした。
N.はハーフタイムに攻撃面を修正。狙い所を定めてチャンス構築の回数を増やすことを意識したが、八王子も守りのリズムを崩さず対応。首位N.の連勝ストップも見えてきた。しかしN.の選手たちの危機感が高まると同時に、終盤残り20分ほどとなって八王子の選手たちの脚が止まってくる。
75分にサイドからのクロスをダイレクトで決められると以降耐えられなくなり、次々に同じ形でチャンスを作られて3失点。暑さもあって走り負けをする格好になった。
それでも終了間際のアディショナルタイムに速攻を仕掛け、MF野原からFW河内へのスルーパスが通りそうになるなど、いい場面をつくっていた八王子。体力面の問題で敗れたが、サッカーの質そのものは低くなかった。
メンバー招集が難しかったことも敗戦を導いた要因のひとつだった。社会人だけに、勤務先で役職がつくと試合当日に集まれないケースも出てくる。交代選手は全員スタッフ。ただそのような台所事情のなかでも、八王子は前向きに戦っていた。
「先制点を獲った時はワンチャン、奇跡が起きるかなと思っていた。でも、今シーズンは残り10分、15分でやられるシーンが多い」(黒木監督)
体力の問題と暑熱の問題が重なった黒星だが、チーム数が多い今シーズンは条件のよくない夏場であっても何試合かをこなさなければいけないことは織り込み済み。言わば想定内の敗戦で落ち込む必要はなく、1得点を挙げて失点を3に留めたことはむしろ好材料ですらある。
夏が来るまでにもう少し勝点を重ねておきたかったところではあるが、まだ試合数は多く残っている。後半戦の巻き返しに向けて切り替えていってほしいと思わせられる八王子の健闘ぶりだった。
【後藤勝】
東京都社会人サッカーリーグ1部