積極的な交代策で東京が初戦突破
写真:後半に同点ゴールを蹴り込むMF瀬川。
MATCH REPORT後藤 勝
<国体関東予選:神奈川 1-2 東京>
19日、埼玉県熊谷市で特別国民体育大会・関東ブロック大会(サッカー成年)1回戦2試合と代表決定戦1試合がおこなわれ、東京選抜は神奈川選抜と対戦。2-1で逆転勝利を収めた。東京は明日20日に1回戦シードの茨城選抜を下すと本大会出場が決定する。
前半は横浜猛蹴、東邦チタニウム、桐蔭横浜大学などから選出された神奈川がすばやくボールを運び、こぼれ球を拾っては押し込む展開で圧倒。単純なミスが多く運動量にも欠ける東京は自陣に押し込まれたばかりか、前半28分に不用意なミスから失点を喫した。しかしその直後に3トップの両端ふたりを交代、長身の17番上村を前に押し出す形で攻撃のベクトルを前に向け始めた。
押し込まれるところまでは想定内だったが失点は予想していなかったという、東京を率いる福田監督は後半4分、直前にイエローカードを提示されていたDF長井に替えてMF小松を投入。小松をボランチに配し、ボランチで先発していたMF瀬川を2シャドーの一角に上げてさらにベクトルを前向きに変え、疲労で脚が止まってきた神奈川の背後を大胆に衝くようになる。
後半7分の同点ゴールは瀬川が決めた。小松の左コーナーキックがゴール前で混戦となり、最後は上村がつないだボールを瀬川が反転しながら左足で蹴り入れた。勢いがついた東京はサイドから背後を衝く姿勢を徹底すると、後半12分、左サイドから背後に抜け出た上村が角度のないところからニアサイドに流し込み逆転。以降は小松を司令塔に残りの時間を冷静にコントロールし、神奈川の反撃を封じて歓喜の瞬間を迎えた。
前半、失点するまでの30分間がかなり低調だっただけに、何かを大きく変えなければ試合が動かなかったことは明白。そこで、なかなか前にボールが入らず高さでも競り負けていたところに身長182cmの上村を投入、運動量を増やすため同時にFW関口をも送り込んだ修正が、流れを変える最初のきっかけになった。福田監督は「変わった手は打っていないのだが……」と謙遜するが、的確な交代だった。
後半の小松投入も理にかなっていた。同点ゴールを演出するキックから周囲を操る声がけまで、後半のゲームを掌握した背景にこの一手があったことは間違いない。 「小松はゲームをコントロール出来て、しかも途中から出場してもゲームに入れる選手なので、あえて残しておいた。ああやってリードして、みんなが浮ついているときにゲームを落ち着かせるという意味でも、どういう状況に於いても小松はゲームをコントロール出来ると思った」(福田監督)
前半によくない点を出し尽くし、逆転で勝利を収めた東京には勢いがある。連日の連戦で、明日1試合勝てばよい茨城に比べて体力的な不利は明らかだが、福田監督に不安はない。 「(連戦連勝で代表決定というシチュエーションは)経験がないからわからないが、もう気合と根性で行くしかないんじゃないか。過去に相手が2試合目で、自分たちが1試合目という逆の立場を経験しているが、そのときは、相手は走れないと思い込んでゲームを握れなかった。だから、逆にいいのではないか。相手のほうが走れるのだから、全部出し尽くすしかないと開き直れる」(福田監督)
「みんな着ているユニフォームは違っても同じフットボーラーだから、すぐ仲間になる」と言い、ファミリー感に目を細める福田監督。東京社会人フットボーラーが一丸となり、全国行きの切符を勝ち取るべく日曜の決戦に向かう。
特別国民体育大会関東ブロック大会