東蹴上田監督「もう一度整理必要」暫定4位で今季終了
写真:選手たちに指示を出す東蹴の上田監督。
東京1部の東京蹴球団は24日の八王子との試合に1-3で敗れ、勝ち点31の暫定4位で今季のリーグ戦を終えた。上田監督は「勝ち点36、失点18を目標に掲げていたが達成できなかった」と今季を振り返り、またゲーム内容については「前からのプレスの意識が強くなった一方、今までのうちの守備のクオリティがシーズン後半はできていなかった。来季に向けて整理したい」などと振り返った。主な一問一答は以下の通り。
── 最終戦を終えて暫定4位。改めてどんな感想か。
「最終順位はリーグが終わってみないとわからないが、これが今の自分たちの実力。途中3位、4位だったりもしたが、実力的にはこのくらいなのかなというのがまずひとつめの感想。それと、今季は人数が多く集まった中で、手を変え品を変えやってきたが、一定のレベル・強度を維持できる選手とそうじゃない選手との差があった。そこはこれからもっと揃えていかなくてはいけない。あとは今季18試合で勝ち点36、失点18を目標に掲げていたが、それも達成できなかった。やりたかったことができなかったかなというのが正直なところ」
── 今季は前線に政森選手が入ったり、若い選手が中盤で活躍したりと、以前の守ってセットプレー一発で勝つというサッカーからだいぶ変化があったと思う。そのあたりの変化について監督はどう感じているか。
「しばらく1トップがはっきりと定まらない中で今季政森が入ってきたのはすごくポジティブで、その流れで新たに入ってきた選手もいた。彼らが入ったことでサッカー自体も前からのプレスの意識が強くなったし変わった。ただ、一方でうちがずっとやっていたブロックを敷いてそこから前に出ていくというサッカー、そのディフェンスが特にシーズン後半はできていなかった。そこは残念なところ。
前からボールを取りに行って取れちゃう。で、そこからショートカウンターを仕掛けてフィニッシャーの精度が良かったので点も取れてしまう。それでも、いざ守ると決めた時に今までのようなクオリティの守備ができていたかというとできていなかった。そこには気付いていたので、途中どこかで整理しようとは思っていたが、なかなか落とし込みができなかった。クラブ選手権・関東予選あたりから守らなくてはいけない時に守れなくなっていたし、以前は1点取れば守って勝ちみたいな印象がうちにはあったと思うが、今は出ている選手も2点目が取れなくてイライラしたりする。チーム力が上がったのか下がったのかと言われると、今までと違う何かを手にした代わりに失ったもの、失いかけているものも若干あるのかなと。そこは来季に向けて整理したい」
── そういった守備の仕方に関しては、リーグ終盤にCB成田選手がケガで出れなかった影響も大きいのか。
「成田ももちろんだけど主将の廣澤がいないのも大きかった。やはり精神的な部分、チームに落ち着きを与えられる2人がケガでピッチにいなかったのは厳しかった。成田に関しては眞砂や長谷川たちが頑張ってくれていたが、廣澤の代わりはいなかった。2人のうち1人だけならまだしもリーグ終盤に2人同時いなかったのは厳しかった」
── それと今季はリーグ終盤の大事なタイミングで政森選手もSHIBUYAに移籍した。そこはどう受け止めたか。
「社会人プレイヤーとしてはある意味限界のところでやっていた彼に、その解決策がもたらされたわけだから、そこは応援した。僕個人としても彼のキャリアステップを応援するべきだし、少なくともチーム内からも『なんだよ、このタイミングで』というようなことは僕の耳に入っていない。他の選手たちも今よりいい環境を提示されれば行きたいと思うだろうから。ただ、その反面、ほとんどの選手はサラリーマンで仕事をしながらサッカーをすることが根っこにあるので、『もし自分だったらその選択はできないな』とわかっているからそういう声が出ないだけだったかもしれない。チームとして彼の損失は大きいが、でもそれによってチャンスを得た選手もいるし、新陳代謝は必要。今は氏橋が前線の軸になるのがみんな見えてきたし、山﨑も戻ってきた。今いる選手でやるしかないと思う」
── 政森選手のようなプレイヤーが居続けるようなクラブを作っていくことは実際には難しいか。
「そこは難しい。今は平日に2回くらいトレーニングの機会をつくっているが、それも場所を変えたり、集まれる人でやっている。あとは個人がそれぞれトレーニングできる環境に顔を出して、試合で良いパフォーマンスを見せる。たぶん、これが今の選手たちの過ごし方なのだと思う。そこを週に4回5回と外部のグラウンドを借りてやっていくのは、お金の問題含めて難しい。やはり社会人サッカーはすごく過酷で、何足ものわらじをその時、その時で選びながらサッカーのレベルを上げていく。本当に自分に厳しくなくてはいけないし、単純にサッカーというよりも違うベクトルとしてサッカーを突き詰めていくことになる。どちらかというと、そういった側の受け皿に東京蹴球団はなるべきだし、あるべきだと思っている」
── 今季は上位で終えたもののトップ3には入れなかった。来季上位3チームとの差を埋めて関東大会に出場するには。
「うちの選手たちはサッカーをやってきた環境やレベルもバラバラで、ポジションも自分の得意じゃないところでプレーすることもある。そういった中で大切なことは選手同士の意思疎通、すり合わせが大事。チームとしての柱はもちろん1本あるが、その細部までこだわりすぎるのは社会人サッカーではないと僕は思っていて、それよりも一つのプレーに関わる2、3人同士がいかにイマジネーションを合わせて、ユニットを作ってボールを動かせるか、また守備をできるかだと思う。そういった意味でも仲間のことをもっと理解し合えるような作業が必要になる。
それと今年の上位3チームとの差に関して言えば、サッカー自体に圧倒的な差はないと思うが、コンディション作りだったりベースの体力といったところが大きな差になっている。普通の社会人クラブがその差を埋めるのは環境面含めて難しいと思うが、それでもそこまで圧倒的な差はない。実際僕らもセミプロのSHIBUYAにも勝っているし、大学生の早稲田、GIOCOにも勝っている。そこはまた大人のサッカーでうまく戦えたらなと思う」
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