東京、辛くも逆転 あす真価かけ茨城と
写真:後半は前を向く機会も増えた東京。ボールを持つ杉山。
【国体関東予選】神奈川 1-2 東京
山口HC「相手の疲れ、暑さに助けられた」
前半の東京は緊張もあったのか、何もできなかった。動きが重く、連動性を欠き、味方を目がけて飛ばすロングキックも大きく外れ、攻撃の形がままならない。完全に神奈川の引き立て役にまわり、福田監督が持ち味と掲げた走力は、攻撃よりも相手のボールをひたすら追いかけることに費やした。「トレーニングマッチならできるのに、公式戦になるといつものプレーができなくなる選手が多すぎた」と山口HC。17分すぎのクーリングブレイクの際に山口HCが激しく選手を叱咤しても、一向に目覚める気配はなく、28分に橋岡のミスを発端にあえなく失点。どれだけ5バックで守ろうが、自陣エリア付近で簡単に相手にボールを渡していてはどうしようもなかった。
直後の30分に早くもFW上村、関口の2人を同時投入し、後半開始4分には警告を受けたCB長井に代えてMF小松を投入。短い70分ゲームの中で、あとがなく、早くも勝負に出たようにも映ったが、山口HCからすると神奈川の前半のオーバーペースを見越し、「1点取れば逆転できる。最悪PKには持ち込める。そこは福田監督とも共通認識で、交代を含めてプラン通りに淡々とこなしただけ」という。
後半開始7分、小松の蹴ったCKがゴール前でどっちつかずのルーズボールに変わると、それを東京が拾って最後は瀬川が左足で蹴り入れて同点。ここから初めて東京らしさが顔を出した。福田監督の掛け声に従い一気に畳み掛けようとする東京、それをやり返そうとする神奈川。双方が正面から向き合って撃ち合うことで生まれるスペースを東京はしっかり突いて、47分に上村が裏に抜け出して逆転ゴールを決めた。
こうなると今度は神奈川が必死にボールを追いかける番。それを東京は“じらし”をまぶしながら、相手の焦りや食いつきを誘って簡単に裏を狙う、時計の針も進める、巧みにゲームを進めて逃げ切った。
とはいえ、この日は東京が“らしさ”を見せられた時間はわずかで、山口HCは「今日は勝ったというより、神奈川さんの疲れ、暑さに助けられた。1点を取られてからボールを動かしはじめても面白くないし、この内容で明日もゲームに入ったら負けるということを認識して、腹をくくって試合に臨まなくてはいけない」と促した。
内容は伴わずとも結果を残して代表決定戦に駒を進めた東京。あすは今日の神奈川よりも縦のスピードや勢いに関しては上回るであろう茨城が相手。真価を問われる大一番で、自らの力を発揮し、5年ぶりの本大会出場をつかめるか。
特別国民体育大会関東ブロック大会