東蹴金星逃す 悔やまれる前半最後の失点
写真:先制しながらも逆転負けを喫した東蹴。
MATCH REPORT後藤 勝
<東京カップ2次戦:南葛SC 4-1 東京蹴球団>
足もとにボールを置いて保持しながらタテパスを通し前進していく南葛SCとは正反対。スペースを制する思想の東京蹴球団が、著名な敵将を悩ませた。
自陣からビルドアップ、主体的にボールを動かしながら中央を前に進もうとする南葛に対し、東蹴は4-1-4-1を採用。この2列目の「4」がワイパーのように動き、南葛の選手を掃除するように圧力をかけていった。南葛の選手が駆使するマークを外す動きも読み切り、容易にパスを通させない。前半45分の失点は、中央を東蹴が制圧する時間帯がつづいたあと、前向きになっていた東蹴が、大外に開いた南葛に、ウラへと通されたもの。ある意味で東蹴が採用した対策の正しさを証明する失点でもあった。
ただ、このゴールが南葛の逆転勝利を呼び込んだだけに、やはり悔やまれる1点でもある。前半の前半は完全に東蹴ペース。FW氏橋とDF長谷川の巨躯が象徴するように、強さと高さ、そして切り替えのすばやさで南葛を圧倒した。この時間帯に関して言えば南葛の腰が引けたようにも映り、どちらが上位カテゴリーかわからないような内容だった。
東蹴の上田監督は勝ち筋を「攻められたところを弾き、そのボールを拾われたあともう1回奪い返す感じでウラをとれたら」と、考えていた。すばやく切り替え、アプローチしていくと、球際で競り合ったあとにボールがこぼれて逆カウンターのように相手の背後に攻め込めそうな気配は、確かにあった。
その思惑とはちがったが、セットプレーから先制することが出来た。しかしそのリードを保てず敗れた一因には、自分たちがボールを握ったときに、思うように動かせず、完遂出来ない攻撃が頻発したことが挙げられる。この現象を上田監督はこう分析していた。
「トラップの瞬間とボールを持った時点では相手のプレッシャーがないが、ふたつ目、3つ目のところで高い強度の寄せが来る。都1部では最初に『ガン』と来なければもう来ないから、そのあとはフリーのまま持ち出せるが、2タッチ目、3タッチ目を狙われているという感覚だった」
いわば、これが関東リーグ1部からJFLに届こうとする南葛との差。そしてこれは都リーグ1部で上位に入るための基準ともなる。都リーグ同士が70分間戦う1次戦では得られない、90分間の2次戦での体力面を含めた貴重な体験を糧に、東蹴は開幕戦に向けて準備を進める。
◇大会日程・トーナメント表
・東京都社会人チャンピオンシップ(東京カップ)