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写真:平日の夜にもかかわらず国立競技場は多くの人で賑わった。

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地道な取り組みを継続し、16,480人。賑わった金曜夜の国立

平日の夜にもかかわらず国立競技場は多くの人で賑わった。

Column後藤 勝

 4点ビハインドとなったものの試合を諦めず、攻め続けた末に1点を返すゴールを決めた斎藤和樹が、一定の安堵をこめてこう言った。

「自分は社員でもあるので、今回もたくさん来てくれた、応援してくれるパートナーの方たちにも喜んでほしかった。なんとか一矢報いることが出来てよかった」

 この6月7日、金曜夜の国立競技場には16,480人の観衆が詰めかけ、JFLの最多入場者記録を更新した。紫のシャツを来た子どもを含む家族連れ、その場で紫のシャツに着替える大人の単身客、スーツを来た会社員仲間と思しき数人のグループ、ややお年を召した夫婦──多様な地域住民やサッカー好きが訪れ、盛況だった。

 国立競技場駅に近いBゲートの辺りは当初から多くの来場者でごった返していた。千駄ヶ谷駅からスタジアムに入っていく西側から外苑前駅からやってくる南側にかけてのエリアは17時時点では人影はまばらだったが、18時を過ぎるとどのキッチンカーにも行列が出来、やはり人で溢れかえる結果になった。もちろん近くのコンビニもレジに人が列をなして満杯。驚異的な賑わいだった。

 それだけ地元、新宿区への浸透が進んでいる。新宿中村屋、新宿高野、文明堂といった新宿の大手食品店が出店、キックインセレモニーをおこなったことからも、経済界との結びつきがクラブの成長を支えている様子がうかがえる。

「ここ1カ月くらいは自分も、自分が担当しているパートナーさんとかに来てくださいと声をかけた。今日の朝も『チケットを追加していいですか』と、そういう嬉しい声がたくさん届いていた。普段関わっている方にパワーを会場で与えてもらっているので、自分も喜んで帰っていただきたいという想いが出せたかなと思う」(斎藤)

写真:国立競技場で3度目となる試合に臨んだクリアソン新宿。

国立競技場で3度目となる試合に臨んだクリアソン新宿。

 選手が社員として働くクリアソンに今年加わった37歳の新顔が、昨シーズンまで東京ヴェルディに在籍していた小池純輝。Jリーグ時代は選手会の理事として活躍していたことでも知られ、社会人として働きながらフットボールをプレーするこのクラブに適合する人材と言える。

「選手会の役員を7年やらせてもらったが、その前は選手のために選手があんなに動いてるんだということを知らなかった。Jリーグの方とか協会の方とコミュニケーションをとらせてもらい、日本のサッカーがこう進んでいる、こういうことを考えているのだと、最前線で知ることが出来、すごく視野が広がった。その視点はいま、新宿のこの地からJをめざす活動につながっている」(小池)

 これまでは外から眺めていたクリアソンのメンバーとして内側に入り、クラブの進化を実感する小池は「結局、自分たちが歩んでいった後ろ側にしか結果はない。地道にやって下のカテゴリーからここまで来たと思うので、そこの部分にはぼくも貢献出来ればなと思う」と言い、首都東京に在るクラブとしてのチャレンジに対し、高い意欲を示している。

 2022年から数えて、国立競技場でのJFL開催も3回目。カテゴリーに関係なく、国立で試合をおこない、そこに1万人以上の人々を引き寄せるという実績を積み重ねてきたことは、事実として残っている。この6月7日の賑わいから、支持基盤の拡大は明らかだ。従来のJクラブとは異なる取り組みで発展しようとするクリアソン。彼らの挑戦はなおも続いている。
【後藤勝】

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