東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]

写真:後半に同点ゴールを決めたエリースのソンホギョン。

関東リーグニュース

本能のストライカーソン、5試合6得点で得点ランク2位

写真:後半に同点ゴールを決めたエリースのソンホギョン。

MATCH REPORT後藤 勝

<関東1部:エリース東京 1-1 桐蔭横浜大学FC>

 見るからにセンターフォワードタイプといったFWソンの活躍で、1点ビハインドのエリース東京FCは同点に追いつき勝点1を獲得した。複雑なデザインを施すセットプレーも珍しくない昨今、MF村田の左コーナーキックに対してニアでシンプルに合わせるヘディングシュート。決まった瞬間に歓喜が爆発し、ソンはエリースのベンチに向かい駆けていった。

「正直言って、自分は自分が決めるところに走る。決められる匂いがしたらそこに走って。もう『自分が決められそうやな』『ボールが来そうやな』というところに身体を投げ出して決めるシーンがけっこう多い」

 決まった手順の通りではなく、キッカーとアイコンタクトをするでもなく、アンテナを働かせてそこを狙う。本能だからこそ、相手も察知出来ないほどすばやくシュートのポイントに入れるのかもしれない。即興の要素で攻略していく辺りはまさに9番といったところだ。

「人より先に動く、(相手のマークを)外してから先に動くというところで、この賭けで勝ったら自分が触れる。今日はいい形で入った」

 ソンは第3節以降の5試合で6得点。エリースのトップスコアラーであり、リーグ全体でもこの得点数は2位に当たる。出場時間が短い割に多くのゴールを決めるせいか“コスパ最強”とチーム内で言われるほど決定力があり、この日も後半10分に入ってから23分後に同点ゴールを決めて場内の人々を唸らせた。

エリース 盤上の理想を貫き、現実の球際も忘れず

「自分はあまりボールを受けないし、エリースのサッカーに“ドハマリ”とは思わない。でも、みんなが下でつくってくれる分、自分もゴールを決めることに集中出来る。ベンチからの指示も特になく、もう『決めてこい』というだけ」

 昨年、一度エリースにやってきた時は18番をつけていた。その後、兵役義務を完了させるために母国に戻っていたが、この度エリースに復帰。背番号9を要求し、その数字の通りに、ストライカーのポジションにふさわしい結果を残している。

 軍隊に行っていたブランクの影響はゼロではないが、年齢を重ねた分、頭を使い、より効率的に得点を奪えるようになった。なにより、兵役を終えてサッカーに集中出来る状態になったことが、彼の背中を押している。そしてその本能的なプレーは、理性的なエリースのフットボールと相互補完関係にある。

「やっぱりエリースは観ていて面白いサッカーをすると思う。けど、いいサッカーをするイコール勝つ、じゃない。俺らはいいサッカーもして、ちゃんと点も決めて勝てるように、練習から頑張っていく。絶対JFLに昇格出来るようにみんなで頑張る」

 明るいキャラクターのソンには、何かを起こしそうな雰囲気が漂う。エリース上昇のきっかけは、案外この辺りに転がっているのかもしれない。
(後藤勝)

【ハイライト】エリース東京 1-1 桐蔭横浜大学FC

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