東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]

写真:終盤のピンチをしのいで勝ち点1を挙げたエリース。

関東リーグニュース

エリース、守備の向上示し価値あるドロー

写真:終盤のピンチをしのいで勝ち点1を挙げたエリース。

MATCH REPORT後藤 勝

<関東1部:エリース東京 1-1 東京23FC>

 東京勢同士の対決となった関東サッカーリーグ1部第10節は、エリース東京FCと東京23FCがそれぞれ相手を凌駕する形でゴールを決め、相手の戦い方に対応しながら丁々発止のやりとり。見ごたえのある攻防の末、1-1の引き分けに終わった。

関東1部後半戦スタート エリースと東京23はドロー

 順位表だけを見れば首位争いをする東京23と中位以下グループのエリースとで差があるように思えるが、内容的には互角。常に上位同士の対戦のような緊張感が漂っていた。エリースは得点力のある大砲型のアタッカーをベンチに置き、ゲームをコントロール出来るタイプの選手を先発に揃えて前半を開始。いい立ち位置をとってボールを動かしていく得意の攻撃から8分にMF神田が先制ゴールを決めた。しかし28分には質の高いスルーパスを通されて東京23のFW村上に決められ、同点とされた。

 保持したいエリースと奪いたい東京23の構図ではあったが、互いにバランスを崩さず、ミドルゾーンでブロックを組み構え合う時間帯が多くなった。そして後半、エリースは3枚替えのタイミングでソン・ホギョンと松岡を同時に投入して勝負に出たもののゴールを割りきれず。手に汗握る接戦で勝点1を分け合った。

 東京23があまり積極的に奪いに来ず、引き気味のポジショニングであったことによって「どこでスピードアップするかは難しかった」と、山口監督。引いた分、前を向いた状態になっているところからのカウンターが脅威で、またウイングバックがワイドから仕掛けてくるところにも迫力があり、エリースとしても長い時間リスクを冒すことは憚(はばか)られた。

 シーズン後半戦最初の試合。エリースとしては成長を勝利で示したいところだったが、最後の15分間、苛烈に攻め込まれる状況に耐えたことを考えれば「内容としても価値のある勝点1」という山口監督の言葉には納得がいく。

「もったいない形での失点が続いていたことは偶然じゃないと思っている。選手たちはこれまで以上に疲れたと思うが、準備や守備の駆け引きでは成長を示せた。またここから継続してレベルアップしていきたい」(山口監督)

「もったいない失点」には第8節、南葛SC戦での決勝点も含まれる。1-1の同点から後半42分、GK畔柳のパスが相手に渡るミスとなり、勝ち越しを許した。この敗戦につながった失点を畔柳はおおいに反省。今節に活かした。

 攻撃の起点としては、スローでもキックでもすばやく味方につけた。守備でもすばやく前に出て相手との間隔を詰め、味方のフィールドプレーヤーにカバーを任せる。観ていてヒヤヒヤするほど積極的にプレーすることが、結果的にリスクを下げた。

「先々週自分のミスで失点してしまい、それが勝敗を分けてしまった。次の練習からそこにいつもよりもフォーカスして臨み、前回の試合から修正出来たところかなと思う。味方の選手が、自分が出たところでカバーしてくれるだろうとか、そういう信頼関係を練習から構築しているので、まず自分が勇気を持って出やすい。味方の選手によってシュートコースが限定されているので、自分はボールに対して反応するだけだった。味方に感謝したい」(畔柳)

【写真】ゴール前のピンチを防ぐGK畔柳。

 ボールを動かす部分に関しては“お茶の子さいさい”と形容して差し支えないほどに進化してきているエリース。守備の向上によって取りこぼしが減れば、成績も上向いていくだろう。ファーストディフェンスと、身体を張ったプレーの強度に手応えを感じつつ「一喜一憂せず、これがゴールではないので、もっと強度を高く、自分ももっとプレス回避を整理していく」と語る畔柳の言葉が頼もしい。

「最後、粘り強さの差を見せられ、攻められてしまった。そこはまだまだぼくたちの成長出来るところかなと思う。選手たちもこういう肌感を感じることがすごく大事で、ここまでいい内容でゲームが出来たことをポジティブに捉えて、次を戦いたい」と、山口監督。飛躍の時が近づきつつあるような、そんな感触が伝わってくる一戦だった。
【後藤勝】

東京23、勝点1に留まるも終盤の猛攻に手応え

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