SHIBUYAは2位以内確定 FW渡邉、前線の起点に
写真:前線で攻撃の起点となるSHIBUYAのFW渡邉。
MATCH REPORT後藤 勝
<東京1部:早大ア式FC 1-3 SHIBUYA>
最終節で首位EDOとの頂上決戦を控えている2位SHIBUYA。なんとしても勝って上との差を縮めておきたいところだが、この日の対戦相手は3位の早大ア式FC。早大も勝って3位以内を確定させ、関東社会人サッカー大会進出の権利を獲得するという目標があり、厳しい試合になることが予想された。
蓋を開けてみると開始早々の前半6分にFW政森のゴールで先制。前半終了間際にも追加点を挙げて2-0と点差を拡げたSHIBUYAが、最終的には3-1のスコアで危なげなく勝利を収めた。
実力差が少ないチーム同士の対戦でありながら思わぬ差がついた原因を探っていくと、SHIBUYAの合理的な戦い方が浮かび上がってきた。
10時30分キックオフ。暑い気候が予想されるなか、SHIBUYAは長いボールも織り交ぜて早大ゴールに迫っていった。攻撃時は4-1-5(4-1-4-1)の陣形となるSHIBUYAは、前線の渡邉千真が左にポジションをとる格好になる。ここでは相手のディフェンダーと身長差があり競り勝てるため、度々渡邉が攻撃の起点となっていた。いわゆるミスマッチ。先制ゴールも渡邉が落とし、MF河西がクロスを入れ、政森が決めたもの。戦術的に意味を持つ役回り。増嶋竜也監督も、渡邉を見て攻撃を組み立てるよう求めていた。
「ぼくのところに入ったボールでうまく起点をつくって、左サイドの河西にうまく流して、そこからボールがつながっている。今日は苦しい時間が長かった。前に入った時になるべく時間をつくったり、収めないと難しい部分があったので、先制点はそういう意味ではよかった。うまく抑えて、起点をつくって、サイドに流して、いいクロスからシュートというのは、流れ的には良かったかなと」
収めるか、当てるか、事故が起こることを期待するか。どうなってもSHIBUYAの有利に運ぶ確率が高い勝負だった。人工芝のグラウンドでうまくボールが転がらないことを見越して、シンプルにやれるところはシンプルにやろうという狙いがあった。
陣形そのものに関しても、4-4-2同士なら噛み合ってしまうところを、4-1-4-1ならズレさせる効果を得られる。またサイドバックに関しても相手のサイドでの攻撃力を警戒して守備力を重視した選考をするなど、現実的な、しっかり守って下からつなぐ攻撃にこだわらないフットボールを志向。早大が力を発揮しにくい状況をつくっていた。
ただそれでも途中出場の右サイドハーフの今西にゴールを決められているように、早大は個々の能力が高かった。サイドバックが上がってサイドハーフと2枚で攻める状況をつくり、あるいはサイドハーフがカットイン。センターフォワードの位置では得点王のFW伊藤が踏ん張り、センターバックもボールの動かし方が巧みで、SHIBUYAの選手も手こずっていた。
「ボールを握れて、向こうはビルドアップのやり方が巧かった。ぼくらもなかなかボールを奪いに行くのにもしんどくて。もう少しボールを握る時間を増やしたい。増やさないとキツい部分はあるかなとは思う」
よく絞れていて均整の取れた若々しい肉体。そして競り合いに勝ちハードワークが可能な頑健さを持つ“カズマ”は、SHIBUYAをチームとして機能させるうえで重要な役割をこなし、元日本代表の威厳をたたえている。
「僕らはリーグで優勝をめざしているので、可能性はある限りそこをめざしてやりたい。EDO次第ではあるけれど、残り2試合しっかり勝って終わりたいと思う」
地域の人々が多く詰めかけ、都リーグとは思えない渋谷区スポーツセンターの賑わいぶり。SHIBUYAを上のカテゴリーに押し上げていきたいという想いが、渡邉の表情を輝かせていた。
(後藤勝)
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