VONDS苦境からの鮮やか逆転 3連勝首位突破
写真:逆転ゴールを決めて駆け出すVONDSのFW加藤。
1次ラウンド【B】VONDS市原 2-1 ブランデュー弘前
2連勝で迎えた1次ラウンド最終戦、引き分け以上で1位通過。負けても突破の可能性はあるにはあるが、チームとしては当然「引き分けという考えはなく、いつも通り勝ちにいく」と、伊澤監督は選手たちと足並みを揃えた。とはいえ「弘前さんは(1次R突破の)可能性がなくなったことで思い切って向かってくる。その難しさはあると思っていた」とも。
複雑なことではないだろうが、何かが微妙に影響を与えたのだろう。たった5分で相手のクロスに対し、自陣ゴール前でMF垣根の伸ばしたブロックの足がオウンゴールを招くまさかの幕開け。ここまで無失点だった堅守軍団がいきなり苦境に立たされた。
以降、前半は相手の動かすボールを必死に追いかけまわすことに体力を注ぎ、攻めてはいながらも精度を欠き無得点。それでも監督は前半を終えて「2点目を与えなかったし、身構える相手に深い位置を取って、クロスも上げてチャンスを作れていた」。要は〝足りないのはゴールだけ〟という手応えだったのだろう。
後半開始から機動力のある渡邊に代えて「FW一木と共に中央でターゲットになれる」と、高さもあり得点力もあるFW加藤を投入。この采配が的中した。FW2人のどちらかが競る、裏へ抜けるを繰り返すことで、単純な縦のロングボール1本がゴールへ直線的に向かう圧力になる。56分にはCKの流れからゴール前の浮き球に主将のCB渡辺が競り勝ち、そのボールを加藤が右足で押し込んで同点。
風向きが変わると、そこからは相手のボールを追う走りにもパワーがみなぎった。75分には吉田のシュートがポストに当たった跳ね返りを再び加藤が蹴り入れて、一気に逆転。終盤はパワーと巧みさをバランスよく使い分けて時計の針を進めて逃げ切り。終わってみれば文句なしの3連勝で首位通過を果たした。
監督は「試合に出ている選手だけでなく、出ていない選手も次の試合に向けての準備、味方のサポートに徹し、それぞれが役割を全うしてくれた。チームで積み上げた勝ち点9だと思う」と胸を張った。次の舞台は京都。「もう一度トレーニングで競争して、よりチームの一体感を高めて臨みたい」(監督)。昨年涙をのんだ最終決戦に挑む。