スクランブル出場の新宿DF坂本、魅せた持ち上がりからのラストパス
写真:攻撃参加から決定機も創出したDF坂本。
JFLクリアソン新宿 0-0(PK2-4)ラインメール青森
ハーフタイムの修正で後半の逆襲に転じていた第1節ラインメール青森戦のクリアソン新宿だったが、好事魔多しとはこのことを言うのか、後半27分にシュートブロックでDF赤井が受傷し、このアクシデントによって2分後にDF坂本へと交代した。残り時間が少なくなってきた頃合いでの最終ラインのメンバーチェンジはビルドアップにしてもマークにしても混乱を招きかねないが、北嶋監督は「気にすることはなかった」と言い、自信をもって坂本を送り出した。
「坂本も昨年ずっとフル出場していてとても信頼のある選手。いま競争が本当に激しくていろいろと序列が変わってきているところで赤井が出ることになったが、もともと坂本の能力にはいっさいの疑いがない。そんなに大きく気にすることはなかった」(北嶋監督)
見せ場は交代の2分後、後半31分にやってきた。新宿が相手陣に押し込む攻撃の過程で、青森GK廣末がクリアついでのロングパスといった感じで前線に送ったボールに対し、猛然と坂本がダッシュ。このボールを奪うとそのまま持ち上がり、決定的なパスを中山仁斗の足もとに送る。中山のシュートは惜しくも廣末に弾かれたが、最大のチャンスと言っていい場面だった。
赤井との交代で出場した時点では0-0。坂本はスクランブル出場にも動じず、まずは失点しないことを意識し、後半にリズムが出て得点に向かう気運が高まっているなか、より点を獲りに行けるような態勢にしようとピッチに入ったという。その姿勢から、守攻一体のスーパーなプレーが飛び出した。
「押し込んだ後のリスク管理についてはチームとしても言われていたので、そこでちゃんと自分がしっかり対応でき、かつ、意外にスペースが自分に見えていた。運んでシュートを見せることも可能だったが、最後に仁斗くんの反応、動き出しが見えたので、ラストパスを選んだ。この試合のなかではけっこうな決定機だったと思う。入ったばかりの早い時間帯であのプレーを見せることができたので、スムーズに試合に入ることができた」坂本はこう語った。
より確率の高い味方を見つけることも含め、上質のプレーだった。センターバックの持ち上がりは現代のフットボールで求められるプレーのひとつだが、新宿で坂本に求められるものでもあり、その能動的なプレーはチームの活力になりうるものだ。「もとより同数というか、後ろで変に余らせるよりは、前にどんどん人数かけて、後ろも同数で守れないとダメ。そこを求められているというのは自分でも感じる」と、坂本。前後に激しく往復が可能な、運動性能を伴った現代的なセンターバックという像を鮮烈にアピールする一連の動きだった。
切り替えがすばやく球際が厳しいハードワーク志向のFC大阪に4年間在籍。上位カテゴリー級の身体能力を誇りバトルに臨むチームの基準でプレーした経験が活きているが、それを新宿で浸透させることも普段から意識しているという。
「昨年は内容が良くても勝ち切れない試合が多かった。いかに苦しい展開でも勝ち切れるか、そこを求め、この特別大会から勝ち癖をつけるというか、勝点を拾い上げることは本当に大事になってくる。自分が出る出ないにも関わらず勝点は大事だが、自分が出た時はより勝ちが拾えるというものを示すことができたらいい」
災い転じて福となす、という方向にこの試合を持っていくことができた坂本。激しい競争でポジションを確約されてはいないが、強い存在感を示す一戦だった。
(後藤勝)
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