新明、圧巻のハットトリック
写真:ゴールを決めて駆け出す新明。(写真:小林渓太)
関東1部東京ユナイテッド 3-0 東邦チタニウム
負けたら終わり、勝てばまだ望みがある。勝つしかない状況で迎えた首位との直接対決、9月20日の関東サッカーリーグ1部第17節東邦チタニウム戦で2位東京ユナイテッドの勝利を呼び込んだのは、FW新明のハットトリックだった。開始早々の前半6分に遅延行為による警告を受け累積で次節出場停止が確定となったが、その分まで今リーグ戦最後となるこの機会に3得点。存分に撃ちまくった。
「ぼくが決めたけれど、チームみんなの得点だと思っている。みんなのおかげで決められた」
謙虚な言葉であると同時に事実を述べた言葉でもある。1点目に関してはFW木村のスルーパスが、2点目に関しては平松の落としが見事だった。その平松のラストパスの前には、多くの人数をかけてボールを動かした左右の揺さぶりがあり、3点目についても相手陣に押し込んでいたからこそ、相手GKのクリアがやや小さくなったところをMF青木が弾き返し、新明の近くに送る結果にもなった。ただやはり、それらのボールの終着点でしっかりと最後を決めた功績は大きい。
取れるだけ取るつもりだった試合前
優勝するには最低限、この試合に勝つことが必要。さらに、最終節で東チタが引き分けの場合に東京Uが勝って優勝するには、今節2点差以上の勝利で得失点差を+22で首位と並ぶところまで持っていきたいところだった。「とりあえず勝つというところが大前提だったので、点差はあまり気にしていなかったが、取れるだけ取ると考えてもいた」と、新明。勝つためにゴールを決めると、それが呼び水となってもう1点取れる、もう1点行けると、優勢に運んだ試合運びの上で生まれていったどん欲さを活かした結果だった。
「1点目(前半36分)はショウ(木村)からいいボールをもらって、ファーストタッチでいいところで止められた。あとはもう流し込むという感じだった。前半で1点取れたということで、気持ち的には余裕が生まれたのかなというところはあるけれど、後半立ち上がりからみんな統一してもう1点を取りに行くことができてよかった」
その“もう1点”が勝負を決め、逆転優勝の可能性を高める一撃になった。後半16分、押し込んだ状態で相手の苦し紛れのヨコパスをカットした新明がそのまま少し持ち上がり右足のシュート。これは弾かれたが、ボックス内の相手にとって危険なエリアでこまめに立ち位置をとり直しながら、平松の落としを見逃さずに再び右足のシュート。これがネットに吸い込まれた。新明自身が「ゴール前にいるというのは常に意識している。その結果、いい感じでボールが転がってきて撃てたと思う」と言うように、フォワードとして点を決められる位置、味方がパスを出したい位置にいる意識の高さが得点につながった。
2-0の段階で東チタと得失点差で並び、この段階で逆転優勝に向けたミッションはほぼ完了。しかしまだ残りの時間があるなかで、2点差以上を確実なものとするにはできればあと1点が欲しいところ。後半45分、前述した青木の弾き返しを受けた新明は、思い切り右足を振って3点目。「欲を言えば」のミッションまで完遂し、今節終了時点で得失点差で東チタを上回るところまで持っていった。「キーパーのクリアをガイ(青木)が拾ってくれて、ぼくにパスを出してくれた時に、前に行った時にキーパーがいなかったので。あとは上に流し込む感じだった」と、新明。いい感じに脱力して精度を上げたロングシュートで決着した。
シーズンを通した成長でストライカーとして開花
今年東京Uに加入した新明は10番的に幅広い役割をこなし、チームのために貢献するところからのスタート。そこからこのチームで求められるハードワークにアジャストして先発フル出場を継続するようになり、得点シーンでの存在感が増していった。今節について言えば、ストライカーとして主役になるようなプレーが目につき、それがチームを助けることになった。
「首位相手に3点を取れたことで自分の成長が感じられ、それがしっかりと自信にもなっている。これからも引き続き、もっと点を取れるように頑張っていきたい」
冒頭に記したように、新明にとってはこれがリーグ戦のラスト。そこで、1シーズンを通した努力が実り、成長が認められるプレーの数々を見せ、最後に花開いた。そして次節は出場停止だが、彼にもできることはまだある。「東チタさんの結果次第で、こっちは勝つしかない。勝つために1週間用意していきたい」と、新明。ここからのトレーニングでチームメイトの準備に必要な相手役を果たし、熱く盛り上げていくのだろう。希望をつむいだホーム最終戦の、エースの働きだった。
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