勝利への道筋は…無得点敗戦もクロスに光明【クリアソン】
写真:懸命にゴールへ迫るクリアソンのFW齊藤。
MATCH REPORT後藤 勝
<JFL:クリアソン新宿 0-1 いわてグルージャ>
連敗脱出をかけた“新宿の日”6.15国立決戦、JFL第12節vs.いわてグルージャ盛岡戦は、最終盤の失点によってクリアソン新宿の敗戦に終わった。クリアソンは第9節から第11節まで無得点で3連敗。これで4試合連続の無得点。またもゴールは生まれなかった。
しかしここまで3試合無得点が続いていたからこそ、点を獲ろうとする意思は明確であり、そのために考案した具体的にゴールを決める手法も試合中の様子から透けて見えた。前半12分の右コーナーキックは、いわゆるデザインされたセットプレー。キッカーはコーナーから少し離れた位置にグラウンダーのパスを出し、受け手はそれをフリック、ゴール前に入ってくるシューターにフィニッシュを委ねる。これはかなり決定的な機会に映った。
もうひとつはクロスによるサイド攻撃。前半40分台には右と左からのクロスでそれぞれチャンスを作ったが、特に前半41分、右サイドバック吉田が送った低めの軌道のクロスは、中央でFW齊藤に合ってさえいれば先制点になっていたのでは──と思わせる精度の高いものだった。
「クロスからの形はいまトレーニングでも積んでいて、今年チームも結成してからずっとそうだが、カウンターとセットプレーがまず一番の得点源、というところから入っているので、セットプレーも重点的にいま積んでいる。成山コーチがいつもいろいろなアイデアを出してくれていて、そういったなかからカウンターを強くしてコーナーキックを得たり、相手陣内に入った時のスペースと、そこからのクロスを上げる場所、入る場所は共有されてきているし、出来てきていると思う。あとは最後、合うか合わないかのところ。そこはもう少し時間とトレーニングが必要かなと思う」
クリアソンの北嶋監督はこう語った。そのように精度を上げていくことも重要だが、試行回数を増やすための努力を重ねることも重要だろう。クロスの精度が高かったとしても百発百中にはならない。得点の確率を上げるには、チャンスの数が多いほうがいい。
「もう少しボールを奪う位置を高くしたいと思っている。ウチはそれほどハイプレスを仕掛けてボールを奪いに行くというわけではなく、カウンターのスペースを残すために中盤からプレッシャーをかけて、コンパクトにしたところからカウンターを仕掛けたいという狙いがある。その中で奪いたい場所はぼくらの中でも決まっていて、そこにボールが入った時にどういうパワーを出して、奪った時にどういうカウンターを仕掛けていくのかというところは選手もみんな共有出来ている。ただ今日は長いボール、対角のボールを入れられることが多かった。そのシーンを出来るだけなくすようにという指示は試合前からしていたが、なかなかそこを抑えきれずにラインを下げさせられたり、深いところでキープされることが多くてカウンターを出しにくかったりと、そういうゲームだった」
詳細に述べる北嶋監督の口調からは、成功がそこまで見えているにもかかわらず、相性もあってなかなか試みが実らないことへのもどかしさが感じ取れた。しかし岩手にボールを支配されていても、鋭く決定的な場面を何回か作っていたことは確かだ。フィニッシュそのもののトレーニングを積むとともに。そのフィニッシュを実践出来るよう、ボールの奪いどころと奪い方、運び方を徹底し、次節こそ連敗脱出のためのゴールを決めてほしいと思わされる一戦だった。
(後藤勝)
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