エリース、地域CL逃すもクラブ記録タイのベスト8で帰京
写真:中盤で相手と競り合うエリースの松岡。
MATCH REPORT後藤 勝
<全社準々決勝:エリース東京 0-0(PK3-5)ジェイリースFC>
全国の頂をめざすエリース東京FCの挑戦は準々決勝で終わった。九州サッカーリーグ2位のジェイリースFCを相手に何度かチャンスを作られたものの、ここまで磨いてきた技術、戦術を駆使、ボールを保持しながら安定して試合を進め、バランスを崩さないままタイムアップ。PK戦に持ち込み、準決勝進出の期待を抱かせたが、3-5で下回り今大会の敗退が決まった。
「やれることは全部やったかなと思う。本当にPK戦はどうなるかわからない。ジェイリースさんはすごくPKが巧かった。正直、今シーズンで一番内容がいい試合だったと思うし、保持して、ゲーム展開を安定させて、 交代のところも含めてやれることは全部やったかなと思う。ただやっぱり最後、得点を獲りきれなかったところはもう今シーズンずっと課題だった。そういう部分も含めて、出来ることは全部やった上での結果なので、悔いはない」(山口監督)
どこかで無理をして仕掛けるのか。失点の可能性を低く抑えたまま試合を進めるのか。判断が難しいところだが、ジェイリースも前半は抑えめで、後半、勝負に出てくるだろうと感じながら、山口監督は采配をふるっていた。後半の後半までに得点を挙げようと前半32分に三枝、後半13分に松岡を投入したがゴールに結びつかず。ただ、最悪PK戦も覚悟した上で臨んだ試合であり、狙い通りの展開と言える範囲内の戦いだった。
そのPK戦、「基本的には落ち着いていて安定感がある選手プラス、途中から出て足に疲労が来ていない選手をキッカーに選ぶ形。最終的にはぼくが決めた」と、山口監督。失敗は1本、ジェイリースが5人目まで成功したことで敗れたが、責められるものではないだろう。
ベスト8の成績はクラブレコードタイ。準決勝に進出し、いわゆる“全社枠”を獲得しての地域チャンピオンズリーグ出場、JFL昇格という望みは絶たれたが、今後につながる手応えを残した大会だったのではないか。
「昨シーズンは全社に出られなかったが、関東2部に優勝し、 今年は関東1部でみんなすごく苦労した。(本日の試合が終わり)もう最後はみんな泣いていたけれど、 今シーズンの苦労を思い出しての涙もかなりあったと思う。苦労して残留して、尻上がりにここまで来て、関東勢の中でぼくらが最後まで残るというのは、そして狙い通りにゲームを進めてここまで来れたというのは、クラブとして、チームとしてすごく前進だと思う。 ただ、クラブとしては、もっともっと上を狙っているし、来季は関東も優勝して、全社も地域CLも優勝を狙っていかなきゃいけない。本当に良い経験も出来たし、選手たちにとっても無駄にならない経験が出来たんじゃないかなと思う2シーズンだった」
指揮官はここまでの2年間をこう総括した。リーグ戦の順位こそ7位だったが、質の高さでは地域リーグ屈指だったはず。「全社、それから関東リーグのレベル感がすごく身に染みてわかったので、 来シーズンに向けて一回り大きくなって、クラブとしてもっともっとアップデートして臨んでいく」と、山口監督。来シーズン以降へのステップとなる、重要な3日間だった。
(後藤勝)
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