東京U松久保、PK失敗もボレーで決勝点
写真:後半、決勝ゴールを決める東京Uの松久保。
MATCH REPORT後藤 勝
<関東1部:東京ユナイテッド 1-0 東京23FC>
PK失敗から14分後、室崎と松久保のコンビで決勝点
南葛SCが敗れ、かつ東京ユナイテッドFCが勝った場合に最終節を待たず優勝決定という状況でおこなわれた関東サッカーリーグ1部第17節は、ユナイテッドと南葛が共に勝利という結果に終わった。
敗れた場合は順位が逆転する可能性もあり、絶対に勝たなければいけないユナイテッドは、東京23FCを相手に前半から攻勢をかけ11本のシュートを撃つも得点無く0-0で折り返し後半へ。そして後半6分、コンビネーションが機能して相手陣深くに攻め込み、FW松久保が放った絶妙なパスに呼応して背後に抜けたMF鈴木が倒されPKを獲得。これを松久保が満を持して蹴ったが、ボールは左の枠外にわずかに逸れた。
だが、これで終わらないのが今年のユナイテッド。気落ちすることなくさらにエンジンの回転数を上げ、何度もチャンスをつくろうとする。ゴールシーンは後半21分、左スローインからだった。瞬間的に東京23の気が抜けたのか、ノープレッシャーの状況でボールを受けた途中出場のMF室崎が左足を振り抜くとファーサイドで松久保がダイレクトボレー。鬼のような高速クロスを強いインパクトで弾くようなシュートでネットに突き刺した。これで勢いづいたユナイテッドは最後まで走りきり、東京23に反撃の機会を与えず勝利。最終節に優勝の可能性をつなげた。
攻撃特化型である室崎の後半開始からの投入はイコール、点を獲って勝ての合図。戦術的には後半、2枚のFWに室崎を加えた3人でカウンターを完遂させるよう指示があり、後方に人数を余らせず攻めきる姿勢が前半よりも明確になっていた。東京23は3バックだが攻撃時には後方が2枚残り気味になる。
そのように構造的にも勝算はあった。しかし本質的には絶対に勝つというマインドがものを言った。PK失敗を見ても室崎は「全然チャンスがあるし、勝てるかなとは思っていた」と楽観的。外した松久保が「みんな元気でニコニコして、次決めろよとか、そういうプラスな声がけがあった」と言うほどに、チームメイトは前向きだった。PKを外した仲間を責めることがない姿勢が、松久保の気持ちを切り替えさせた。
決勝点のツボはもちろんクロス。室崎はボールサイドのセンターバックの頭を越すクロスを送るか、それともマイナスの方向にボールを出すかの選択で、頭を越す軌道を採った。「ピンポイントで合わせるというよりは、スペースで合わせたほうがいい」という思想。室崎は速いボールに当ててさえくれれば入る確率は高いと踏んでいたようだ。
この、矢のようなクロスをふかすことなくすばらしいボレーで叩き込んだのが松久保。選手交代の準備で自身の背番号「11」が見えたことで、これを決めなければ替えられると悟り、最高の集中力でフィニッシュに臨んだ。
「室崎は練習からいいボールをくれる。外で持った時、絶対にボールが来ると思い、相手の背後に隠れてファーで待っていた。自分的にはPKを外して頭が真っ白だったけれど、あれは気持ちで押し込んだゴール。絶対決めてやろうという気持ちだった」
このゴールで“延命”した松久保は結局後半42分までプレー。ヒーローとしてスタンディングオベーションで迎えられることとなり、地獄から天国へと逆の気分を味わった。
姿勢や気持ちといったものがこれほどダイレクトに、内容や結果に反映されるチームもそうはないだろう。室崎はこの重要な勝利を次のように振り返った。
「必ず獲らなきゃいけないプレッシャーはあるけれど、そこが仕事なので。今回もアシストという形だが、勝ちにつなげることが出来て良かった。もうずっと言っているが、ぼくらが圧倒的に勝てるとか、3-0、4-0みたいな試合は基本ない。VONDSに敗れた時もそうだったが、先に失点をすると苦しくなる。前半も終わり際もみんなすごく守ってくれて、全員で勝ち取った勝利だと思う」
勝たなければ2位転落もありえた試合を、PK失敗の窮地からのリバウンドメンタリティで制したユナイテッド。最終節、流通経済大学ドラゴンズに勝てば無条件で初のタイトルを獲得する。
(後藤勝)
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