鈴鹿、終盤のカズ投入も実らず 地域リーグ降格へ
写真:試合に敗れ味方に手を差し伸べるFW三浦。
MATCH REPORT後藤 勝
<JFL・地域入替戦:アトレチコ鈴鹿 0-1 VONDS市原>
11月30日のJFL·地域入れ替え戦は延長戦の末に全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2位のVONDS市原が勝利を収め、敗れたアトレチコ鈴鹿の東海サッカーリーグ1部への降格が決まった。
試合の内容は悪くはなかった。VONDSの攻撃を、鈴鹿は懸命に防いでいた。最後の1/3のゾーン深くに進入しようとするVONDSの選手たちに対し、守備陣が前にせり出してその勢いで相手を飲み込み、ボックス内やその高さのサイドにまで食い込ませないチームとしての守備もさることながら、この日、先発で起用されたディエゴ ワシントンのプレーが輪をかけてすばらしかった。208cmの長身を活かしてセットプレーの浮き球をしっかりと掴み、正面からのシュートもその巨躯でコースを狭め正確なポジショニングも相まって弾いてしまう。
しかしその難攻不落の城も、左右に揺さぶったVONDSの工夫の前に陥落。延長前半8分の失点により0-1の1点ビハインドとなった鈴鹿は窮地に立たされた。もちろん、そのままでは敗戦が決まる鈴鹿は猛反撃を開始する。VONDS陣内に押し込み、ボックス内でボールを行き交う状態にさせ、中で誰かが触れば1点という状況をつくったところで、山本監督はFWカズ(三浦知良)の投入を決断した。そしてカズが前線に入りボックス内に立つことで、明らかに危険な匂いが漂い、相手にとっての脅威が増していると傍目にも感じられた。
「仰るとおりで、あの時間帯はサイド、中央からゴールに迫ることが出来ていた。得点能力についてはチームで一番長けている彼を活かし、カズ本人と周りの選手のところでなんとか点を獲って追いつきたいという想いで投入した」(山本監督)
だが再三フィニッシュを狙うもゴールには至らず、最後の数分間はコーナーでのキープも駆使して時間を費やすVONDSを仕留めきれなかった。この日はディエゴが好調だっただけに、同点に追いつきPK戦に持ち込めば勝利の女神が微笑む可能性もあったはずだが、そこに至る前に120分間で試合が終わってしまった。
後悔と反省が少し遅かったのかもしれない。そもそも、この入れ替え戦に出場するような成績になる前に改善を進めていれば、この試合の敗戦と地域リーグへの降格という結果はなかった。この現実を受け、カズは次のように今シーズンの鈴鹿を振り返った。
「自分の危機感としては6月、7月にあまりいい状態ではない、降格するチームの雰囲気、負け方を感じていた。ぼくは降格というところに行ってはいけないと言っていたが、それを止められなかったのは反省点。最後の4試合のような(必死の)戦いをしていたら、たぶん落ちなかったと思う」
そして降格することになるクラブの今後を想う気持ちを絞り出した。
「ここまで鈴鹿の歴史をつくってきてくれた先人たち、鈴鹿のサポートをしてくれていた地元の企業、サポーター、そういう人たちの想いや気持ちを感じながら、その人たちのためにもなんとか残留を成し遂げたかったが、それが叶わず降格してしまった。これもサッカーだと言ってしまったらそれまでだが、大事なことはどんなことがあっても諦めずに前を向いて這い上がっていくことだと思う」
カズは鈴鹿でのプレーについて「今後についてはクラブと話をしていない」としながらも「12月からケアに入り、自主トレに入る。昨年出来なかったことがいま出来る状態に戻ってきているので、それをやりたい」と、現役続行の可能性を示唆するかのような言葉も。もしカズが鈴鹿とともに這い上がろうとするならば、そこに降格ではなく“2回目のJFL昇格”という新たな物語が生まれるのかもしれない。
(後藤勝)
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