VONDS、新時代の扉を開く JFL昇格
写真:こぼれ球を追いかけるVONDSの主将CB篠原。
MATCH REPORT後藤 勝
<JFL・地域入替戦:アトレチコ鈴鹿 0-1 VONDS市原>
過去2年、JFL·地域入れ替え戦の壁に弾き返されていたVONDS市原FCが、11月30日の同入れ替え戦でJFL15位のアトレチコ鈴鹿を延長戦の末に下し、三度目の正直でついにJFL昇格を成し遂げた。ジェフユナイテッド千葉にならなかったほうの古河である、古河電気工業千葉事業所が母体。Jリーグ開設以前の時代にJSL(日本サッカーリーグ)に属していたことはあるが、VONDSとなってからの全国リーグ参加はこれが初めてのこととなる。
今シーズンは関東サッカーリーグ1部で4位。全国社会人サッカー選手権大会で3位に入り、いわゆる全社枠での全国地域サッカーチャンピオンズリーグへの出場であり、決してスムーズに事が運んだわけではなかった。1次ラウンドを堂々の1位で突破したものの、決勝ラウンドは2位。優勝は1次ラウンドグループCでVONDSに次ぐ2位だったジェイリースFCに譲り自動昇格を果たせず、今回JFL·地域入れ替え戦を制し、ようやくと言っていい、クラブ創設から14年目の悲願達成だった。
この鈴鹿戦も難関だった。相手の守備が堅く、特に守護神、ディエゴ ワシントンのパフォーマンスがすごすぎた。背が高くリーチが長く、バキュームで吸い込むようにクロスやシュートを掴み、あるいは弾いていく。背後に飛び出してのシュートもセットプレーからの攻撃もすべて封じられた。
しかし粘り強さと工夫が感じられる攻撃が最後に実った。高さのある浮き球は空中で掴まれる。正面からのシュートも寄せられて弾かれる。ならば、手が届かない空間に蹴るしかない。延長前半8分、左からのMF大友の浮き球を、ファーサイドにいたDF吉田が落とし、そこをFW加藤がダイレクトボレー。GKディエゴは一歩も動けず、電光石火のワンタッチプレーで隙を衝いた一撃で、ついに鈴鹿のゴールをこじ開けた。そしてこの一撃が入れ替え戦の壁を乗り越え、新時代の扉を開くことともなったのだ。
「(地域CLで)3年連続準優勝というのもなかなかない記録だと思う。その2年間だけではなく、悔しさにはクラブとして積み重ねてきたものがある。クラブ内の期待、地域の期待、そういうものをすごく背負った戦いだった。これが一回目の挑戦だったとしたら、今日勝てていたかというと、それはわからない。ぼくもチームに加わって今年で2年目。やはりクラブとしての積み重ね、歴史があって今日たどり着いたものだと思う。いままで選手として関わってきた方たちや(チームの)スタッフ、フロントスタッフ、ファン、サポーターも含めて、みんなで勝ち取れたものなのかな、と」
乗り越えてきた壁の向こうを振り返り、VONDSを率いる向山監督はこう語った。粘り腰はこの日の延長戦を含む120分間だけではない。14年間の積み重ねによって、VONDSは限界を突破したのだ。それを象徴するかのような、決勝点の場面だった。向山監督はそのシーンを次のように説いた。
「鈴鹿さんはリーグの、特に最後のほうでは堅さがあった。どうやってこじ開けようかと、クロスの本数、スローインとかセットプレーをなるべく数多く増やすというところでトライをしていたが、キーパーもディフェンスも堅く、試合の前から本当に1点勝負になるなと思っていたが、実際にやってみてもあらためてそうだなと思った。サイドから崩そうというプランはあったが、そういうなかでコーナーキックが増え、そこが最終的にゴールにつながったのではないかと思っている」
常に2点目を狙い相手陣に鈴鹿を押し込めようとしながら、最後の5分間はコーナーキープを指示。そうして試合を閉じるところまで含め、VONDSらしさが全開の勝ち方が出来たのは、それが付け焼き刃ではなく、常に砥いできたものだったからなのかもしれない。
関東サッカーリーグで同期だった栃木シティがJFL優勝、J3優勝を2シーズンで積み重ね、あっという間のJ2へのステップアップを果たした。その背中を見て「続けるように頑張っていきたい」と、向山監督。一度蓋が開いたら、あとはケチャップをドバドバ出すだけ。JFL·地域入れ替え戦を初めて突破したVONDSは、JFLそしてJ3でも勝つ気満々で、決戦の地であった三重県をあとにした。
(後藤勝)
【関連記事】
・VONDSついにJFLへ 鈴鹿に1-0勝利
・鈴鹿、終盤のカズ投入も実らず 地域リーグ降格へ
日本フットボールリーグ

