南葛、首位撃破 FW木下が驚異の単独突破弾
写真:後半にドリブルからゴールを決めるFW木下。(写真:小林渓太)
関東1部南葛SC 2-1 東邦チタニウム
南葛SCがここまで12戦無敗の東邦チタニウムに土をつけた。8月23日、宵闇が迫る17時30分にAGFフィールドでおこなわれた首位攻防戦・関東サッカーリーグ1部第13節は、絶大な安定感を誇る東チタが貫禄を見せ先制しながら、後半に持ち味を発揮した南葛が“らしい”スーパーゴール2発で逆転する結果に。両者の勝ち点差は7に縮まり、東チタの独走で終盤に向かうかに見えたリーグ戦は、予断を許さない状態となった。
南葛の攻撃を吸収するかのように、前半の東チタは安定した試合運びを続けていた。そして前半25分、右CKをキャプテンのDF原が頭で叩き先制。これまでそうであったように、この日も東チタの勝ちパターンへと回収されていくのではないかという空気が漂った。
しかし後半4分、南葛のFW木下がこの空気を一変させた。スローインを受けて左サイドを攻め上がり、深くえぐったかと思うと相手の選手たちをかわしながら中央に向けて運ぶ。そして誰に渡すことなく、誰に奪われることなく、右足のシュートがネットを揺らした。首位・東チタの堅い城壁に、大きな穴があいた瞬間だった。
爆発的な歓喜が席巻する飛田給。流れを変えた南葛は後半34分、コースが空いた瞬間に途中出場のFW福本が豪快な右足シュートを突き刺し、ついに逆転。後半アディショナルタイムに相手の右ロングスローを自陣から蹴り出すとタイムアップ、東チタの快進撃を食い止める勝利の笛を聞いた。
試合後、殊勲の木下に尋ねると、あのシーンにおける意識の推移が理解できた。
「東チタに守備を固められたら崩すのは難しい。でもその中でスローインのところからうまく仕掛けてゴールを決めることができ、チームとしても大きな1点だったと思う。深いところまで入り込んでいたので、横へのパスも見ながら、多分その判断を持っていたからこそのドリブルがゴールにつながったのかな、と」
ゴールライン近くまで深くえぐった木下がシュートまで一人で完結するかどうか。味方へのラストパスを選択する可能性もある。相手が的を絞れない、あるいは高い確率で自身のシュートを選択するとは予想しきれない状態でのソロプレーが、めったに見られないゴラッソを生んだのかもしれない。
「大事なのは毎試合勝つこと」
それにしても、相手を見て瞬時に適切な判断を下す、その連続で成り立つ南葛のサッカーを体現するかのようなゴールだった。ボールを持つ木下には、守備陣を畏れるどころか蹴散らすような、奪われずにスペースを衝いていけるという強烈な自信が漂っていた。
「練習から運ぶ、自分の位置にボールを置くというところが、みんなもできてゴールにつながった。スペースがない中でのプレーも練習の段階からやっていること。狭い中でもやれるという自信は常に持てている。試合の入りからボールを持った時に獲られないという自信のようなものがすごくあり、後半にああいう形でゴールに結びついた、そこを今後の試合にも継続していきたいと思う」
東チタが無敗の首位であることは「あまり知らなかった」という。他のチームのことよりも、自分たちの成長に重きを置いてひたすら向上に時間を捧げてきたことがこの試合の後半に実ったのだろう。「失点はしたが、自分たちが常にボールを保持して試合を優位に進めたところがよかった」と、木下。自分たちのやり方に対する自負が感じられた。
「もちろん優勝はめざしている。ただ、大事なのは毎試合勝っていくということ。勝ち点差を少しは頭に入れながらも、目の前の試合に勝つことを大事にしていきたい。自分もまだ全然点を獲れていないので、より多く獲れるように頑張る」
風間監督が率いて3年目となる南葛は、指揮官の信念がチームの隅々まで浸透しているようだ。哲学を哲学に終わらせず『キャプテン翼』の必殺技のような次元で具現化する彼らは、まだ優勝を諦めてはいない。そう思わされる晩夏の決戦だった。
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