南葛4失点「もっと自信を持たないと」向上誓った風間監督
写真:ドリブルで突破を図る南葛の小西(中央)。
MATCH REPORT後藤 勝
<関東1部:南葛SC 1-4 東京23FC>
思わぬ大差がつく一戦となった。しっかりと足もとに収めてボールを動かしていこうとする南葛SCと、奪ってからすばやく切り替えて攻める東京23FC、それぞれのスタイルが明確に出た対決だったが、スコアを見れば1-4で南葛の大敗に終わった。
東京23の小松監督はボールを持つ南葛に対して自分たちがどう奪うかという内容面を「想定通り」と言いながら、ボール保持時と非保持時、速攻と遅攻の使い分けが出来たこと、11人でコンパクトに出来たことに勝因を求めた。その継続性や熟成度に比べると、個人個人を鍛える基礎工事からチームづくりを進めている南葛が敗れることも、現時点ではありうることという言い方も出来る。
東京23に堅く守られながらも、いざ自分たちのボールになった時は、南葛の選手たちは身体の向きやパスの角度を工夫してつないでいき、相手ゴール前に到達していた。また相手のプレッシャーに対しても、特にボランチの今野と小西のところでは自分の身体を使ってボールに触らせない状態を一瞬つくってからパスを出すなど、やるべきことをやろうとしていた。ただ、ボールを保持して前進していく戦い方をするチームは、その分、奪われて失点するリスクが高くなる。自分たちのクオリティが一定の基準に達するまではこの高いリスクがついて回り、今野のところで奪われて前に出ていたGK外山の背後を衝かれた1失点目のようなシーンが生まれやすくなる。
風間監督はこうした本質について考え、自分たちに矢印を向けていた。
「自分たちのいいところはたくさん出ていると思うけど、やっぱり個のクオリティがまだまだ足りない。それをずっとやってきているんだけどね。自分たちがボールを持つ、それから自分たちが崩しきる、そこまでいかないと、自分たちのミスで失点することになる。圧倒的にやるためには、もっと徹底的に自信を持たないと、一人ひとりが。そこはやっぱり付けていかなきゃいけないな。それがこれからの、このチームの課題だと思う」
やるべきことをやろうとしていて、もちろんそのためのトレーニングも積んでいる。しかし相手を凌駕するほどのクオリティに達していない。となるとトレーニングの中身や、風間監督からの伝え方をさらに深め、十人十色の選手たち一人ひとりにより浸透させていくことが必要になりそうだ。
「トレーニングも、練習を試合にもっともっと近くしなきゃいけない。そのためにはもう少し個々が自信を持つこと。それから、個々で自分の中のクオリティを上げていくこと。ここはやり続けるしかないからね。相手の場所をどんどん崩していかなきゃいけない。ボールを動かしているだけで、ボールが逃げているだけで、相手はそれでは崩れない。それが今日すごく明確にね、わかったから、もっともっと足りないことを、しっかりやっていこうと」
大前のゴールで1-1の同点としたあとの3失点は運動性能の差ということも出来るが、風間監督は、考え方としてはまず「ボールを奪われていること自体がダメ」と言っていた。確かに、崩されての失点はほとんどない。相手に奪われないよう運び切ること、そのために個のクオリティを高めていくこと。課題をはっきりと認識し、より向上しようと決意した南葛。あとから振り返った時にこの試合がターニングポイントのひとつだったと言えるようになるならば、意味のある大敗だった。
(後藤勝)
関東サッカーリーグ