新加入の小川優介 持ち味発揮に至らず 元鹿島
写真:63分までプレーし、ベンチに引き上げる小川。
MATCH REPORT後藤 勝
<関東1部:エリース豊島 0-3 日大N.>
「まだまだわからないことがある」
埼玉県社会人サッカーリーグ1部のアヴェントゥーラ川口に移籍していた元J1鹿島アントラーズのMF小川優介(23)が、関東サッカーリーグ1部のエリース豊島FCに電撃加入。6月7日の第7節日本大学N.戦で初出場、KSL1部デビューを果たした。小川はJリーガーを輩出する埼玉県の強豪校、昌平高校から鹿島に加入。その後、J3のFC琉球を契約満了となり、今年はアヴェントゥーラで得点力を発揮し、活躍していた。低迷打開の切り札として期待されたが、初戦の日大戦では移籍直後ということもあり、なかなかいい状態でボールが渡らず、持ち味を発揮するには至らなかった。
得点能力も高いが、周りを活かすことも得意な小川。センスが合う味方を輝かせながらチームとしてコンビネーションで攻めていくイメージを練っていたがチャンス創出に苦しみ、0-3の敗戦を喫して反省しきりだった。
「自分は周りの選手の特徴を知った上でそれを活かすことが得意。練習で大体の選手たちの特長はわかっていたので『やれるかな』という感じはあったが、そもそも対相手でうまく外すとか、そういう部分が出来ていなかった」
前半36分頃、中央トップの位置から手前に引いてきた小川はまるでテコの原理を使うかのように勢いのあるスルーパスを右前のスペースに走り込むウイングのFW船川に向かい放ったが、こういうシーンをクリエイトする機会が少なかった。日大のプレスに苦しみビルドアップがうまくいかないことに端を発し、どのように対応するかの答えを出しきれないまま試合が進んでいったからだろう。
「チームの状況が悪く、失点数が多いので、まずは失点なしで行きたいところ。そこで自分は技術を売りにしているということで、ボール保持でチームに還元出来、プラス失点数を減らせればなというイメージでゲームに入った。でも相手も前線からしっかりとプレスをかけてきたなかで、空いてるところを探しながらプレーしたつもりではいたが、なかなか打開策を見つけられずにズルズルと失点してしまった」
相手のプレスへの対策でボランチの立ち位置をいじると、距離が空いてバランスが悪くなり、中盤が一部空洞化。その影響でボールを失った時、一気に運ばれてしまうケースもあり、自分たちのフットボールをする以前のところでうまくいっていなかった印象だ。こうなると、多少強引にでも小川がボールに触れる回数を増やし、変化を起こしていきたいところだ。
「自分はボールを触ってなんぼの選手でもある。オフ ザ ボールの動きももちろんだが、ボールに触り、その上で相手を剥がして前進していくのも自分の持ち味ではあり、もう少し下がってでもボールに関わっていったほうがいいのか、という風には思っている。合流して1週間経っていないので、まだまだわからないこともたくさんある。会話は出来ているので、すり合わせをしてやっていければ」
個人として高いポテンシャルを有していることは間違いない。J1クラスの素材である小川が本来求められる輝きを放つ時、下位で低迷するエリースの反転攻勢が始まる。
(後藤勝)
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