エリース、新戦力活かせず 日大に敗れる
写真:日大の激しい寄せにあうエリースの木内。
MATCH REPORT後藤 勝
<関東1部:エリース豊島 0-3 日大N.>
ゴール前の攻防が課題
ガイナーレ鳥取から期限付き移籍のDF東根、元鹿島アントラーズのMF小川(アヴェントゥーラ川口)を加えたエリース豊島FCが日本大学N.との東京勢対決に敗れた。今節を迎えるまでともに1勝同士、この関東サッカーリーグ1部第7節に浮上のきっかけを見出そうとしていたが、軍配はチーム事情でサブメンバーが少なかった日大に上がった。
最終ラインからビルドアップしていく戦い方のエリースは日大のプレスに苦しんだ。相手が厳しく寄せてきてもゴールキーパーとディフェンスラインで回そうとするが限度というものがあり、プレス回避で浮き球を蹴らざるを得なくなる。ただその浮き球が狙ったところに入ってチャンスになるのではなく、日大に回収されると蹴るメリットもなくなる。それでも、繋いでも不利、蹴っても不利という状況になっても即失点というわけではなく、前半30分までは耐え凌いでいた。
しかし互いのゴール前を行き来する過程で破綻がなくとも、ゴール前の際のところで瞬間的に相手のパワーを下回り、失点を喫してしまうのが現在のエリース。右からの高い浮き球をザスパクサツ群馬U-18出身のFW糸井に頭で叩き込まれた前半30分の1失点目が試合の流れを決定づけてしまった。ここで下を向くことなく我慢して0-1で前半を終えることが出来ればまた違った試合運びになったはずだが、3分後に連続失点。日大が元気だった時間帯に2点差をつけられ、スコアの回復が難しくなった。
「ここまでの3試合ずっとそうだが、失点しなさそうに見え、全然悪くない流れのなかでのファーストチャンスをすべて決められてしまっている。この失点の連鎖を止めないことには苦境を抜け出せないと、1週間改善に取り組んできたが、ほとんどの時間を守れたとしても、瞬間、瞬間でエラーが出てしまう。失点が多すぎると試合全体の流れが悪くなり、相手に引かれる展開になる。失点のところは本当に減らしていかないといけない」
山口監督は厳しい現状をこう語った。いかに日大と言えどもすべての時間帯でフルパワーの闘いは無理。苦しい時間帯を耐え、積み上げてきたプレーモデルに則って安定して試合を進め、チャンス創出の試行回数を増やし、確率的に、一定のターン数ごとに得点を挙げていく試合展開に持ち込めれば勝点は見えてくるが、そうなる以前に不利なスコアになっている。メンバーが昨年とはほとんど入れ替わったなかではあるが、守備の立て直しが急務だろう。
東根と小川のポテンシャルが高いことはわかった。足もとに収まり、機敏な動きが可能。左サイドバックの東根はボールの預けどころとしてプレーメーカー的な活躍が期待出来、一方フォワードの小川は鹿島の大先輩に当たる柳沢敦のように周囲を活かしながら得点力を発揮出来るタイプ。合流から数日、その能力がチーム力に結びついていない現状だが、ここから数週間でフィットさせていけば優勢の試合展開に持ち込めるだろう。
「東根はキックの質も高い。中を選ぶとかボールを運ぶとかというところで、すり合わせていかなければいけないところもあると思うが、大学時代から見ていてクオリティが高い選手だということはわかっている。小川に関しては、神田凜星、森雄大と感覚的には多分合うと思う。彼らにいい形でボールを入れさせて、というところだと思うが、今日は日大さんがマンツー気味に来て、そこのフィジカルの勝負で押し込まれた。途中から背の高い工藤を入れて、前線は多少出来るようになったが……。そのように後半はチャンスはかなり多く作れていた。明らかに日大さんは前半で試合を決めに来ていたし、あそこで押し切られてはダメだったと、すごく反省がある」
ゴール前の攻防を改善し、新戦力を活かした試合運びが出来るか。あらためて修正の道筋を見出す敗戦となった。
(後藤勝)
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