武蔵野、熱戦で勝点1 守護神末次が気迫のセーブ
写真:後半にゴールを狙う武蔵野の中田。
MATCH REPORT後藤 勝
<JFL:横河武蔵野 0-0 クリアソン新宿>
中央線ダービー、あるいは東京ダービー。両クラブがそれぞれ異なる呼称をつけたJFLの在東京クラブによる対決は激しい闘志を前面に押し出したものとなり、クリアソン新宿の猛烈な攻撃を横河武蔵野FCの堅い守備が跳ね返す構図で進んだ結果、0-0のスコアレスドローで決着した。
クリアソンが高い精度で攻めれば攻めるほど、武蔵野はシビアなクロスやシュートを的確なタイミングで弾き、掴むことが求められる。クリアソンの良い攻撃が武蔵野の良い守備を引き出し、この試合は後半の序盤に俄然ヒートアップした。クリアソン右サイドのMF猪野毛からのクロスが入ってくるとボックス内でシュートチャンスになる可能性が高く、そのシュートを弾き返しても二次攻撃、三次攻撃が襲う。そのことごとくを食い止めた守護神が武蔵野のGK末次だった。後半6分、手で最初のシュートを弾いた末次は2本目のシュートも残した足で弾く。その後もシュートを跳ね返し、クロスを掴み続けた。
「カットインで前半からクロスがあり、もしかすると、の印象があったのでそこは準備出来ていたかな、と。(シュートストップ時は)まずはボールにチャレンジする、しないの判断。しないのであれば、目線を変えて準備をするという、キーパーの基本的な技術というところは、今週の練習でしっかり準備出来ていた。クロスからのシュートがけっこう多いイメージだった、そこに対して重点的に取り組んできた練習の成果だと思う」
末次はこう振り返った。異様とも言えるほどクリアソンのチャンスが潰えていく。この仕事を単に「当たっている」と解釈するのは末次に対して失礼になるのかもしれない。もちろんGK単体として彼が秀でていることは前提で、おそらくは周到な準備が実った必然だったのだろう。金守監督は「失点を減らそうとやってきて、粘り強さというか、しっかり我慢するところは力が徐々についてきている。クリアは小さかったかもしれないが、弾いたあとの反応、セカンドでは良い部分も出ていた」と、これを評価した。
「昨年は失点が多く、キーパーとしてすごく責任を感じていたし、やっぱり無失点のほうがぼくは楽しい。勝てなかったことはすごく悔しいが、無失点に抑え、嬉しさ半分悔しさ半分といったところ。ただ0-0でOKという気持ちは、基本的にはぼくたちにはなかった」 このように末次が言うとおり、武蔵野は15位争いの渦中にあるが、引き分けで良しとするチームではなくなっている。金守監督は次のように総括した。
「勝点3を獲りたかったというところは正直ある。前節鈴鹿に勝ち、順位が同じ相手であるクリアソンに対して勝つか負けるかで、前節のその勝点3の意味も変わってくる。今日はそういった意味でも本当に重要な試合だった。ただ、自分たちに流れがなかなか来ないなかで、最後は(負傷で)10人にもなり、そのなかでもゼロで抑えて勝点1を拾えたことは、この1がどこかで効いてくるんじゃないかと信じている」
勝てないなら勝てないなりに、しぶとく拾った1ポイント。この手応えを携えてサマーブレイクにいい形で入ることが出来た。
「調整とかではなくて、ぼくたちはこの夏の期間で成長して、もっと強くなってリーグ後半戦を迎えたい。みな、これまでの武蔵野よりも走れているので。もっと戦えるチームになって、勝点をもっと獲れると思うので、期待してほしい」
激闘を終え、末次の表情は晴れ晴れとしていた。中断期間のトレーニングを経たその先に、逆襲の秋が待っている。
(後藤勝)
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