エリース、事故的な失点に泣く 課題が明確化した敗戦
写真:前半に先制ゴールを許したエリース。
MATCH REPORT後藤 勝
<関東1部:エリース 0-2 東京U>
第7節で日本大学N.に敗れたあとウイングのポジションをなくして5バックへと移行、より安定感を増してきたエリースだったが、この第10節では東京ユナイテッドFCに0-2で敗れた。前半35分、自陣最終ラインでボールを回していたところ、相手にパスをする恰好になりFW内山に決められ先制点を許し、1点ビハインドで後半へ。
前後半を通じ、中のスペースを明け渡す機会はほとんどなく、戦術的な破綻はなかったが、後半31分には相手GKのロングキックの落下点に多くの選手が反応した結果、自陣バイタルエリアが空いて2失点目。要所でチャンスをものにするユナイテッドに屈する結果となった。
攻守に前から仕掛け、押し込んでいきたいユナイテッドと、相手を引き込んだ状態から前進してチャンスをつくりたいエリース。それぞれの狙いがピンチにもなりうるかみ合わせだったが、明暗が分かれた。1失点目のように事故的な失点も1試合に1回はあると考えれば、早い時間帯に1点を獲っておきたいところだったが、先にゴールを許したことで失点に対してより敏感になり、切迫した心理がプレーに影響。焦れてしまい、自陣ゴール前にステイしなければいけない状況で出ていかなくともいいスペースに出ていったことで致命的な2失点目を喫してしまった。
「流れの中からチャンスを作られた数はほぼほぼゼロだったと思う。ゲームをどちらが戦術的に握っていたかと言ったら間違いなくウチだった。ただ、ユナイテッドさんはこういうゲームをモノにするのが巧い。ウチは逆に、こういうゲームをモノに出来なくてずっと勝てていない。失点のところもそうだが、結局は得点を奪えないことがすべて。得点が奪えればもう少し攻撃も大胆に行けるし、失点に対してももう少し敏感にならずに済むが……」
エリースの山口監督はこう振り返った。FW豊田からのボールをMF柿本が落としMF小川が撃ちきれなかったシーンなど、一度前線のスペースにボールが入れば、中央部分で3人、4人が絡んでチャンスをつくることも出来ていた。シュート数はユナイテッドの6本を上回る9本。しかしミドルシュートが多く、得点の匂いは漂わなかった。
「あれだけボールを握って決定的なチャンス、と言った時に、もちろん遠くからのシュートはあったけれど、決定的なスペースで仕事をした回数、そこに入れた回数が何回あったかと言われると、それらの回数をもっともっと増やさないと難しい」と、山口監督。前半の最後にそうしたように、セットプレーやカウンターでチャンスの分母を増やすことも今後はより意識しなければならないだろう。
残留争いを考えると、サマーブレイクまでのあと2試合が重要になってくる。次節に向け、よりディテールを詰めていく必要がある。
「東京23さんも今年あまりよくなく、相当圧力をもってやってくると思う。あちらも3バックで戦術的にミラーになりやすい構造。どこにスペースを作ってどうするかという部分をもっともっと整理しないと、得点の可能性を高められない。選手はゲームをコントロールすることに取り組み、規律をもってよくやってくれている。1でも3でも、少しでも多く勝点を獲って残留したい」
困難な状況ではあるが、現場は折れずに闘っている。残留だけを考えれば可能性がなくなったわけではない。クラブ全体でこの難局に挑み、突破していきたいところだ。
(後藤勝)
関東サッカーリーグ
