DF鈴木裕と小野寺、守備重視で無失点達成
写真:敵のボールを激しく奪いに行く武蔵野・鈴木裕(中央)。
MATCH REPORT後藤 勝
<JFL:横河武蔵野 0-0 沖縄SV>
JFL第25節、沖縄SV戦に臨んだ横河武蔵野FCに異変が感じられた。最終ラインを5枚にして守るところまでは、特に驚きはない。しかしウイングとして秀でた右ウイングバックのDF鈴木(裕)、アグレッシブさが持ち味の3バック右を担当するDF小野寺が揃って攻め上がりや持ち場を離れることを自重するとなると、これはただごとではない。偶然ではなく、武蔵野が意図したものであることは明らかだった。
試合の結果は直近5試合中3勝がいずれも4得点以上の大勝だった沖縄を無失点に抑えての0-0。その結末から考えれば妥当な策だったのだろう。武蔵野は前節からフォーメーションを3バックとし、守備時は5-4-1で最終ラインは5枚。片方のウイングバックを前に出すこともなく、ブロックをつくり極力失点をゼロにしていく作戦だったが、今節は特に慎重さが感じられた。
鈴木は「行けるところは行きたいという想いで入ったが、あまり攻撃にパワーを使いすぎてしまうと、肝心な守備のところでパワーを出せなくなる。そこのバランスを見ながら、まずは守備から入った。ここからどれだけ出ていけるか、残りの試合でもう少し前に出ていく頻度を増やせたらとは思っている」と語った。
スタートの位置が後方だと、攻撃参加は慎重にならざるをえない。試合の流れで前に出ている時にそこから攻撃を始めるか、スタート位置が低い時にここぞというタイミングを見定めて長い距離を一気に駆け抜けるか、いずれにしてもしっかりとした考えもなしに、いたずらに攻めればいいというものではない。「ボールを保持する時間がつくれなかったので、割り切ってまずは失点しない方向で今日はポジションをとっていた」と、鈴木。相手のやり方や力量と自分たちの状態を見た、冷静な判断が実を結んだ。
一方、小野寺も戦術に則った行動であることを明かしていた。
「センターサークルのところからブロックをつくるというやり方。前から行くより、しっかりポジションを整えていくというのが戦術としてあったので、自分だったり、(鈴木)裕也くんも前に出ずに我慢するといったところは、徹底していたと思う」
このやり方が、ピッチを広く使ってボールを動かしていく沖縄のやり方に嵌まったことを鈴木も認めていたが、小野寺はまた異なる側面から、守備が機能したことを次のように説いた。
「グラウンドの状況もあるので、けっこう(ボールが)止まったりする。そこがあったのでパスカットがうまく出来た。あとは正直、前から行くよりも引き込んでしっかり守備をしたほうが、相手が焦れてきたところでスペースを衝けたりする」
こうして沖縄のやり方に対して守備が嵌まった今節だったが、一方でシュート数が少なめになってしまったことは否めない。後半はシュート6本と挽回し、特に終盤は積極的に仕掛けていっただけに、今後は守ったあとの攻撃が課題になりそうだ。
「引き込むところは引き込むで、どこかでギアをかけて前から行くとか、そこは自分たちの中で臨機応変に対応していくことが大事なのかなと思った。前から行って、獲れてチャンスになっているところもあったので、それを決めきる。残り5試合しかないが、やっていくしかない」
ラスト5試合は強敵相手の試合が続く。「今日の試合以上にみんなが身体を張って、声を掛け合うことを徹底して、少ないチャンスでしっかり決めきる。ここはさらに磨いていかないといけない」と、小野寺。残留に向けた収穫と課題が明確にあらわれた一戦だった。
(後藤勝)
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