MF金田、通算100試合出場 決勝点の起点に
写真:JFL通算100試合出場を達成したMF金田。
MATCH REPORT後藤 勝
<JFL:横河武蔵野 1-0 アトレチコ鈴鹿>
7月20日に味の素フィールド西が丘でおこなわれたJFL第17節は、試合終了間際の劇的な決勝点で横河武蔵野FCがアトレチコ鈴鹿を下した。三浦知良を擁する鈴鹿はJFL界での注目の的。その視線も影響してか西が丘にはビッグマッチの雰囲気も漂ったが、ラスト15分間に的を絞った交代策が功を奏し、5分とされていた後半アディショナルタイムの最後に途中出場の9番FW田口が慎重な左足のワンタッチシュート。そしてこのゴールの起点となったのは、この鈴鹿戦でJFL通算100試合出場を達成した同じく途中出場のMF金田の浮き球だった。
手元のメモを見ると、後半の半ばから段階的に、金守監督が最終盤の「得点用布陣」を敷いていったことがわかる。後半24分、右ウイングを務めるMF川戸に替わりMF鈴木を投入。その5分ほどあとにMF金田がスタンバイを始め、後半31分、MF依田に替わりボランチへ。そして後半37分には2トップを2枚替えし、FW田口とFW新関を投入。スターターとして守備を主なタスクとして試合のペースをつくってきた選手たちが退き、攻撃要員が揃う形になった。
外に開く立ち位置をとり前への推進力がある鈴木がいるなら、スペースにパスを出せば、その外に膨らんだ鈴木に通る。そしてそこからクロスを入れて2トップへ──というパスルートも想像しやすい。ラスト15分間の攻撃は、まさにそのようになっていた。ことに、早稲田大学時代からの先輩後輩の間柄である鈴木と金田は、太い線で繋がっていた。
「(鈴木)裕也くんとはいっしょにプレーして長いので(早稲田大学時代からのチームメイト)話さなくともだいたい、やりたいことはわかりやすいし、自分にとってもやりやすいかなと思う」
ベンチで試合を観ている間は嫌な予感に襲われていた。ボールを握り、ある程度のチャンスをつくりながらも決定的なチャンスは少なく、なかなかゴールにたどり着けない。これまでの武蔵野によくある試合展開だったからだ。しかしこの鈴鹿戦は、絶対に勝つという意識付けのおかげで、前へ前へと向かう姿勢と高い士気が衰えなかった。
「試合前、監督から『今日は勝点1じゃなくて3が絶対必要だ』ということを何回も何回も言われていた。最後の時間帯になっても、守りに行くのではなく、いつもであればもうひとつエネルギーを出すことが出来ていなかったなかで、今日は走りきれていたことが大きかった。ここ最近は途中出場の選手が結果を残せていなかったけれど、今日は得点シーンを振り返っても、自分から(鈴木)裕也くんに入って、裕也くんから(田口)光樹くんという形で決めることが出来て、そこはすごくポジティブに捉えられるかなと思う」
金田はこうして100試合出場記録達成の花道を自ら飾った。しかし愛するクラブである武蔵野の一員としてピッチに立つことの責任を自覚する彼は、記録達成を喜ぶと同時により一層の活躍を誓うことも忘れなかった。
「この年齢(28歳)まで大好きなサッカーをこんなに素晴らしい環境で、大好きなチームで続けられているということに関して、自分を支えてくださっている方、チームを支えてくださっている方、すべての方に感謝したい。同時に自分は、サッカー選手として出た試合で何が出来たのか、どれだけチームを勝たせることが出来たのかというところが一番重要なことだと思っているけれど、信頼してもらい100試合使ってもらっているなかで、今年6年目になるが、今年も含めて4回も残留争いをしていることに、不甲斐なさを感じてもいる。今年はまだあと13試合あるので、下を見るのではなく上を見ながら、少しでも上の順位をめざしてやっていきたい」
ややもすると荒みがちなサッカーの世界で、金田は100試合を経ることによって、ただピッチ内の技術を磨くだけではなく人間的にも成長してきたのかもしれない。チームを勝たせたいという想いも力に変え、残留争いを抜け出すために必要な勝ち点3を得た、そんな節目の100試合目だった。
(後藤勝)
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