FW田口、劇的“サヨナラ弾” 9番の仕事
写真:終了間際にゴールネットを揺らした田口。
MATCH REPORT後藤 勝
<JFL:横河武蔵野 1-0 アトレチコ鈴鹿>
積極的に攻め続けた95分間の最後に、感動のフィナーレが待っていた。後半アディショナルタイムが目安の5分間に達しようという頃、DF鳥居のフリーキックから始まり、MF金田、MF鈴木と渡り、DF鳥居に戻る。そしてMF金田に再びボールが入ったところで電撃的なフィニッシュワーク。金田からの浮き球を受けた鈴木が相手ゴール前を横切るようなクロスを送ると、ファーサイド気味にポジションをとっていたのはFW田口。このボールをふかすことなく正確に枠内へと押し込むと歓喜が爆発した。
下位をさまようシーズンとなり、うしろに重くなりがちな3バックから4バックへとフォーメーションを変更して積極的なゲームが出来るようになってきた横河武蔵野FC。しかし前節はボールを支配し、チャンスを創出するも、なかなかゴールが決まらず無得点でラインメール青森に屈してしまった、しかし三浦知良が所属するアトレチコ鈴鹿をホームの西が丘に迎えたこの一戦では、攻撃的な姿勢を貫いた上でのゴールが決勝点となり、勝点3を獲得した。
「スタートから前線がどちらかというと守備のほうで頑張ってくれた。相手のディフェンダーを疲れさせたり、かき回してくれたところで、交代で入ったぼくたちには最後にゴールを決めるという役割があり、それを実行出来たことは、フォワードとして、9番として、そこは良かったと思っている」
まさに背番号9に恥じない9番の仕事だった。途中出場で右のワイドに入っていたMF鈴木からクロスが入ってくる予兆を感じ取り、動き出していた。
「ゴールのひとつ前のシーンで、似たようなアーリークロスのシーンがあって。そこは相手がブロックしたのだけれど、あの瞬間にもう一回来るかなと予想があって。抜けた瞬間にあえてキーパーのほうには突っ込まずにファーのほうで待って(鈴木)裕也に通してもらおう、と。裕也を信じていたので、本当にあとは落ち着いて、ちょっと緊張したけれど、流し込むだけだった」
だが相手の寄せがなくほとんどフリーになる場面とはいえ、ヨコから入ってくるボールに合わせるだけというシチュエーションは、見た目よりも容易ではない。ダイレクトで合わせる難しさに緊張も加わり、タッチをミスしてしまう可能性があるからだ。PKと同様にメンタルの強さも問われる場面だったが、田口はやりきった。
「いままでのサッカー人生でもああいうヨコパスを無人のゴールに流し込むのは、周りから見るとすごい簡単そうには見えるけれど、変に当てるだけになると、どうしても上体が逸れてふかしてしまったりするので、そこはもう気持ちで押し込むという感じだった」
もうあとがない、ラストワンプレーかもしれないチャンスをものにする。それは緊迫した場面ほど集中力が研ぎ澄まされるということなのかもしれない。「終盤、劇的な展開でゴールを決めることがサッカー人生でも多かった」と、田口は言った。
「自分のモチベーションがこのシチュエーションも含めて上がっていた。それは(鈴鹿を迎えた注目の試合という)会場の雰囲気も含め、自分の気持ちがうまくゴールに繋がったかな、と」
0-0で終わるのかもしれない流れだったゲームで勝利を引き寄せ、勝点1を3にしたことは、JFL残留確定をめざす上で、今後の星勘定を考えると非常に大きな意味を持つ。
「試合が始まる前から、今日は引き分けではなく絶対勝点3を獲りに行くと、ミーティングで金守監督がしっかり言っていた。交代の切り方、時間帯も含め、そこは監督の考えで、最後の時間にフォワードがパワーを使えるようにして、それは多分少ない時間でも結果を出してくれるとぼくらフォワードを信じてくれてのことだったと思うので、その信頼に応えられたことは、フォワードとして本当に良かった」
この得点後2分ほど後半アディショナルタイムは続き、武蔵野がヒヤリとさせられる場面もあったが、ほぼ“サヨナラゴール”と言っていいラストの攻撃での決勝点には大きなインパクトがあった。支配力を高めながらも最後の精度を欠いていたところ、クロスの練習に取り組んできた成果だが、喜びはこの夜限りで終わり。「浮ついた気持ちにならないように。明後日からの練習はもう一段階引き締めてやらないと、多分足元をすくわれる」と、田口は気を引き締めた。この鈴鹿戦の成功を一度きりのものにしないためにも再びトレーニングに真摯な態度で臨み、クリアソン新宿と対戦する次節に備えていく。
(後藤勝)
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