写真:数的優位を生かせず2勝目を逃したBANDEIE。
MATCH REPORT後藤 勝
<東京1部:BANDELIE 0-1 三菱養和>
1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイムの48分、ついにBANDELIEがゴールネットを揺らしたかに思えたが、アシスタントレフリーの判定はオフサイド。このラストのチャンスを逃したあと、ほどなくしてタイムアップ。同点に追いつくことは出来ず、勝点3が三菱養和のものとなった。
攻撃の形は十分に表現していた。最終ラインからビルドアップして前進し、キャプテンのMF猪田と逆サイドのMF坪沼、ふたりのサイドハーフが左右から切り崩してフィニッシュへと持ち込む。特に三菱養和に退場者が出たあとはボールを支配し、何度となく相手ゴールに迫った。
「ひとり退場したこともあり、自分たちのボールを持つ時間が長くなるとはハーフタイムに思っていた。いかに前向きで攻められるかというところは狙いを持ってやっていたのでよかったのかなと思うけれど、最後を決めきれなかった」(猪田)
猪田がこう振り返るように決定力を欠いたことは確かだが、反面、これといって極端に悪いところがあったというわけでもなく、敗因または低迷の原因は特定しにくい。ただ、猪田は詰めていく余地がある足りない部分に気づいてはいた。
「今日のところで言うと、前半の立ち上がりに少しふわっとしている部分があり、そこで失点をしてしまった(前半21分)。そこはもう少しキャプテンとしてもチームとしても締めなきゃいけない」
その失点がなければ三菱養和が逃げ切りを図る試合展開にならず、少なくとも敗戦はなかった。さらに言えば、本来強みとしている守備面でも良さを発揮しきれなかった。「前からの守備で嵌めてショートカウンターというのが強みだが、今日そこがうまく出せずに、少しかいくぐられたり、簡単に背後をとられたりしてしまう部分があった」と、猪田。
前からプレッシャーをかけてボールを奪いに行き、奪えなかった場合はミドルブロック、ゴール前の守備と段階的に移行してフィニッシュをやらせないというように、やり方そのものには昨年の始動から蓄積があるが、それが実戦で出せなかったということになる。
攻撃にも守備にも、BANDELIEにはBANDELIEの明確な形がある。つまり戦い方の問題ではなく、それをいかに公式戦のピッチで表現するかというところに課題があることになる。ここについても、猪田は既に思考を深めていた。
「細かいところで身体の向きであったり、そういう修正点を全体で話しながらとか、あとはいかに相手の嫌なところにつけるか、どこから攻めて奪いに行くかということは、もう少し試合中にコミュニケーションをとらなければいけない部分かなと思う」
都リーグは1回戦総当たりでリーグ戦の期間も短く、反省点を次に活かすことが簡単ではない大会。つまずきが以降の試合にも波及しかねないだけに、いかに限られたミーティングの機会にすり合わせを進められるかが重要になってくる。「コミュニケーションを増やしてやるしかない」と、猪田。試合後のミーティングも熱を帯びていたが、チャンスを逃し追いつけなかった悔しさをバネに危機感を高め、チームとして苦境を乗り越えていくしかない。
(後藤勝)
東京都社会人サッカーリーグ1部
