GK古屋、後方から繋ぐ攻撃をコントロール SETAGAYA
写真:攻守に活躍したSETAGAYAのGK古屋。
MATCH REPORT後藤 勝
<東京2部3B:慶應BRB 1-1 SETAGAYA>
最後の最後、慶應BRBにPKで追いつかれ1-1の引き分けとなってしまったが、内容的にはほぼSETAGAYA UNITEDが制圧し、試合運びもその1失点に繋がった最終盤を除けば狙い通りに推移していた。
SETAGAYAはゴールキーパーからボールを動かしていくスタイルが持ち味。相手の前線がプレッシャーをかけてきたとしても動じることなく下でパスを繋ぎ、ゴールキーパーと最終ラインとの間でボール保持を安定させたところから攻撃を始めていく。慶應も前からプレスで嵌めていきたい意図はうかがえたが、寄せていくと剥がされ、かえって不利な展開になりそうだと察し、なかなかプレスに行ききれなかった。
「前半は狙い通り。後ろでしっかりボールを繋いで相手のプレスを剥がせたので、相手も体力的にもキツくなってなかなかボールに来れないという状況で、自分たちのペースで進められたかなと思う」
こう語るのは攻撃の起点となるGK古屋。そこから中を通して前進することもあるが、前線に対して中長距離のパスをタテにつける時もあり、この複数の攻め手を有していることにより、さらに慶應は守りにくくなっていた。
「ゴールキーパーを使うと(相手より)ひとり多い状況で、それが自分たちのスタイルだし、ちゃんと相手が出てきたところに対して中を使うのか、うまく長いボールを使うのかという判断が出来ていたかなと思う」
SETAGAYAがめざす方向性はリカルド ロドリゲス監督が率いる柏レイソルに近く、すべての選手が相手と味方、ボールの状況を見て判断と意図を共有、少し立ち位置をずらすことで瞬間的に出来たスペースを使い、ボールを動かしてビルドアップの状態から前線につけてしまおうというもの。このクオリティが高かったために、慶應が対策を遂行しきれず勢いを出せない時間帯が長く続いたが、それでも最終的には勝利を収められなかった。
「なかなか後半は体力的にもキツくて、選手同士の間が伸びてしまう状況で相手にボールを収められるシーンが増えてきた。単純に、エリア内にボールを入れられる回数が増えてしまった結果、ああいう事故的な形でPKを与えてしまったと思う」
この時期の暑熱が大敵となっていた。前後半のアディショナルタイムを含めると約90分間に達した試合時間の経過がSETAGAYAから体力を奪うとともに、勝ち点を2奪っていった。
これで7試合を終えて4勝3分け。自力での1部昇格は難しくなってきたが「優勝がなくなったわけではないので、また次に向けていい準備したい」と言う古屋。その眼には、いいサッカーをして勝つという志の熱さが宿っていた。
(後藤勝)
・FW茅野、走り続ける姿勢で同点呼び込む 慶應BRB
・慶應-SETAGAYAの無敗対決は白熱ドロー
・【ハイライト】慶應BRB 1-1 SETAGAYA
東京都社会人サッカーリーグ2部
